二卵性双生児を妊娠中によく聞かれる “バニシング・ツイン”という言葉がある。片方が育たず、妊娠中期を迎えることなく消滅して1人のみ無事に誕生するという現象で、10~15%の確率で発生するといわれている。生き残れなかった胚芽や胎児は母体の中に自然に吸収されるのがふつうだが、万が一もう片方の赤ちゃんの体に吸収された場合が、このたびお伝えする「寄生性双生児」である。このほどインドで…。
インドのウッタル・プラデーシュ州イラーハーバードから驚きのニュースが飛び込んで来た。長年にわたり慢性の腹痛に苦しめられてきたというナレンドラ・クマールさん(18)。嘔吐が続き、体重の減少もはなはだしいことから受診したところ異物が発見され、このほど3時間かけた摘出手術が成功した。それは母親の胎内で壁一つ隔ててある時まで一緒に育つも、双子としてこの世に生まれることが叶わなかった“相棒”の骨、髪、歯。重さはなんと2.5kgもあったという。
公開されたあまりにもショッキングなその写真。例えるとすれば、まだ土の付いたじゃがいもがパックリと口を開け、そこに白い歯が数本生え、黒く長い髪の毛が生えているといった感じである。「Narayan Swaroop Hospital」のラジーヴ・シン博士ほか医師団は、クマールさんに「もう片方の子も君の体の中で精一杯生きて成長を続けていたのですね。おそらくヘソの緒を通じて入りこんだのでしょう」と説明したという。
「寄生性双生児」に関しては、過去にもさまざまな例をお伝えしてきた。2010年には香港の「クイーンエリザベス病院」で、女の赤ちゃんが体の内部に別の赤ちゃんを2体(双子)宿して誕生した。生後3週間で摘出手術が行われたが、へその緒、手足、皮膚、胸郭と骨、腸、脳の組織が確認されている。また2014年にはインドで手足が8本という赤ちゃんが誕生したが、こちらは「この子はブラフマーの神の子に違いない」などと崇められた。新生児500万人につき1人の確率で出現するこうした現象。香港の女の赤ちゃんの場合は、おそらく3つ子のうち2人が早いうちに成長が止まり、胚芽がその女の子の体に吸収されたものとみられている。
出典:http://metro.co.uk
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)