詳細まで描きすぎて一定の印象を与えてしまうと、実は守備範囲を狭くしてしまうと言われるのが犯人捜しのために公開される似顔絵。プロはそこまで考えているのだが、ニュース番組を見ているお茶の間の人々が飲み物を吹いてしまうような似顔絵が発表されることも時にはある。このほど米フロリダ州で…。
フロリダ州マイアミ・デイド郡のノース・マイアミ・ビーチで昨年、ジョセフ・ラクシンさんというユダヤ教指導者が殺害された事件。州検察はその後、記者会見で1枚の似顔絵を示しながら一般市民に情報提供の協力を呼びかけた。そしてこのほど、当時15歳であったディアンドレ・チャールズが容疑者として逮捕されたが、改めてメディアはその似顔絵の質について触れている。
状況証拠はある程度揃っているものの、ディアンドレの検挙までにかなり時間がかかったことについて、本人が頑として犯行への関与を認めないこと、そして母親が「事件当時、息子は自宅にいた」とのアリバイ証言を覆さないことが障壁となっていたとする検察側。一方で、メディアの多くは「まさか子供が描いたようなその似顔絵のおかげではあるまいな」と突っ込む。ニュース番組でその絵が流れた際、視聴者の誰もが「なんだこの絵は」と爆笑したためだ。
目撃証言をもとにその道のプロが描いたのか、あるいは目撃者本人が自身で描いたのかは明かされていないその絵。しかしじっくりと覗き込めば、丸めの顔、ゆるいカーブを描く髪の生え際のライン、白目がちな瞳、両端が下がり気味の口元と下唇、顎のうっすらとしたヒゲなど犯人に通じるものをよく捉えているとは言えないだろうか。
テキサス州ラマー郡でも以前、同様の似顔絵が話題となったことがある。「もうちょっとマシな絵を描けないのか」と呆れる市民。しかし保安官事務所はいたって真剣であり、メディアの取材に「似顔絵に犯人の特徴をズバリ描写することは敢えてしません。なぜなら“こんな雰囲気の男を見かけた”と感じてもらうことが重要だからです」と説明していた。
※ 画像はhome.bt.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)