劣悪な生活環境や整わない医療制度のせいで、働き盛りでありながら重い病気を抱えて生きている人々も多い中国。そんな両親の面倒を見ながら暮らしている少年の話題が人々の胸を熱くさせている。
この画像は中国の国営メディア『CCTV News』が伝えているその記事のスクリーンショット。少年は山西省に暮らすFeng Molin君。母が盲目という中、まだ4歳であった2006年に父も重い髄膜炎が原因で視力を失ってしまい、以来9年間、Feng君はその手足となって家事を切り盛りし、両親の世話をし、しかも学校にも通わなければならない大変な忙しい毎日を送ってきた。親切な地域住民、障がい者手当や生活保護、人々からの善意の寄付に助けられる日々だという。
しかしFeng君が小学校2年生の時、通っている地元の学校が閉校となったことから遠方の雁門(Yanmen)の学校に転校することが決まり、それがこの少年の生活を一層忙しいものにしてしまった。通学が困難なことから寮に入ることを余儀なくされたのだ。こうしてFeng君は毎週末自宅に戻り、両親の食事を1週間分準備し、宿題を抱えているにもかかわらず両親が満足するまでたっぷりと話し相手をし、そしてまた学校の寮に戻っていく。
見るに見かねた人からは、「Feng君を養子として迎え、両親を引き取って看護師つきで面倒を見てあげよう」というこの上ない申し出もあった。しかしFeng君は援助の類はありがたく受け取るも、「週末に両親と一緒に寝起きすることは僕にとっても大きな喜びになっているし、両親の世話は子供である僕の責任なんだ。だから今は一生懸命頑張ってみる。将来は自分のこの手できっと大きな幸せをつかむつもりだよ」とまっすぐ前を向いて語り、養子の話はきっぱりと断ってしまったそうだ。
苦労続きのこの一家のストーリーとFeng君の辛抱強さに、中国のすべての人々が胸を熱くさせたと伝える『CCTV News』。大都会では裕福な家庭で甘やかされてぬくぬくと育っている子供も多い近年の中国だが、地方にいけば家事をよく手伝い、勤勉で人情に厚い子供がとても多いことを誰もが知っているからであろう。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)