コンピュータやスマホの登場で、映像、画像を含む情報が容赦なしに次々と飛び込んでくる時代になった。本人が望む・望まないを問わず、時には大変ショッキングな映像や写真もある。このほど英トーク番組で、「それがどれほど残酷な仕打ちであるか」をある女性が語った。父親が「イスラム国」に斬首されるショッキングな写真をひょんなことから目にしてしまったというのだ。
英ITV局のトーク番組『ジェレミー・カイル・ショー』に出演し、「できればその事実を知りたくなかった。知らなければこんなに苦しまずにすんだのに」と涙ながらに語ったのは、英マンチェスター在住のルーシー・ヘニングさん。インスタグラムを楽しんでいたある時、彼女は望みもしない残酷な写真を無理やり見せつけられてしまったと深く嘆いた。
タクシードライバーであったルーシーさんの父親アラン・ヘニングさん(当時47歳)は、トルコとの国境にも近いシリアの戦闘地域で孤児たちに食物や水、救援物資を届ける慈善活動に関わっていた中、2013年12月下旬に過激派組織「イスラム国(以下IS)」の戦闘員により誘拐され、10か月にわたり人質として身柄を拘束された。なんとか解放するよう熱心な働きかけが続けられたものの、残念ながらアランさんは昨年10月に斬首されている。
処刑のたびにそのむごい様子を映像で公開してきたIS。ベッドの上でいつも通りPCでインスタグラムを開いたルーシーさんは、ある写真を目にして「一瞬にして背筋が凍りました」と話した。それは斬首という愛する父親のあまりにも悲惨な最期を撮影したもので、無事救出をひたすら祈っていたルーシーさんの精神的ショックは想像に難くない。オロオロと泣いてしまった自分に対し、彼女は「パパが最期に味わった苦痛や絶望感はそんなもんじゃなかったはずよ」と大声で活を入れてしまったという。
この世の中はあらゆる意味で情報過多と言われているが、PCやスマホの普及でそれは一気に加速した。ルーシーさんにとっても諸刃の剣であったように、ニュースはもちろん、楽しかったSNSも自分に都合のよい情報だけを流してくれるとは限らなくなっている。とはいえ、“あの頃はよかった”とPCやスマホがなかった時代に後戻りすることはきわめて難しい。「もうそのことは考えたくないのに、ふと気が付くと父親の最期の姿、残虐なISのことが頭をよぎってしまいます。何の感覚も持たない人間になりたいとすら思います」とルーシーさん。彼女が早くそのトラウマから抜け出せるよう心から祈りたい。
※ 画像はdailystar.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)