運動会の目玉のひとつである、組み体操の「人間ピラミッド」。昨今ではピラミッドが高層化する傾向があり、“高い目標を目指すことで生徒が得られる達成感”を強調する教育者がいる一方で、過去には死亡や後遺症が残る重大事故が発生しているため、「危険を冒してでも高層型『人間ピラミッド』に挑戦する意味があるのか?」という声も少なくない。そんななか、教育評論家の尾木直樹氏は自身のブログで、「こんな学校の危険がまかり通っている国も珍しい」と警鐘を鳴らしている。
9月27日大阪府八尾市の市立中学校で行われた体育祭で組体操の10段「人間ピラミッド」が崩れ、1年生の男子生徒が右腕を骨折し5人が軽いけがを負った。同じ府内の大阪市では過去に事故が繰り返されているところから、市立小中高校の運動会で実施されている組み体操「ピラミッド」の段数を5段までに規制することが9月1日、採択されたばかりだった。まだ秋の運動会シーズンが続く中、この高層化する「人間ピラミッド」についてネット上でも賛否両論が渦巻いている。
10月3日の 『尾木直樹(尾木ママ)オフィシャルブログ「オギ☆ブロ」』に週末行われる運動会に向けて、“高いと感動するというピラミッドは警戒”と記す尾木直樹氏。「やらせる学校も学校なら、眺めて感動する親も親」だと厳しい意見だ。子ども達の命と安全に対する意識が、日本の大人達はなんと低いことか−と、毎年繰り返される「人間ピラミッド」の事故の重大性を訴えている。そして保護者側にも組体操の内容に疑問や懸念があるなら、学校側にきちんと発言して欲しいというのが尾木氏の願いだ。
高層型「人間ピラミッド」の是非については 2014年09月のテックインサイトの記事でも扱っているが、ある情報番組では母親でもあるコメンテーターが、「自分の子どもも小学6年の時『人間ピラミッド』に挑戦したが、集中力などいろんなものを学べるすごく良い場だと思った」と、必ずしも反対の立場ではなかった(但し段数の制限は必要との意見)。男性コメンテーターらは「参加の自由が許されない状況で、高層型人間ピラミッドへの挑戦を強制することに反対」、「人間ピラミッドが成功したことで、協調性が身に付くのか」等少ない人数の出演者の中でも賛否が分かれ、考え方もバラバラであった。実際に今年「人間ピラミッド」に参加した児童や生徒、そして中高生の時体験している近い年代の若者は、本心ではどう思っているのだろう。この意見こそが大事なのではないだろうか。
(TechinsightJapan編集部 みやび)