これまで映画『わが母の記』(2011年)や『駆込み女と駆出し男』(2015年)で作品をともにし、舞台挨拶でも息の合ったところを見せてきた原田眞人監督と女優・樹木希林が9日、都内で開催された日本外国特派員協会の記者会見に登壇した。外国からの記者を前に樹木は原田監督の魅力を語った。
今月22日から東京・六本木ほかで開催される『第28回東京国際映画祭』。“Japan Now”部門が、今の日本映画が持つ大きな可能性と意欲を国内外に発信する場として今回新設された。その中で原田監督が特集されることになり、『原田眞人の世界』として映画5本が上映される。会見に出席した同部門のプログラミング・アドバイザーを務める安藤紘平氏は「映画を通して日本を知っていただきたい」と外国の記者にアピールした。
原田監督は「“Japan Now”の最初の監督(特集)に選ばれて名誉なことだと喜んでおります。(同じく今回新設された)“Japanese Classics”の方じゃないかとちょっと疑問に感じています」と冗談で笑わせた。東京国際映画祭には22、3年前にコンペに出て以来という原田監督は、今回上映される5作品は「カンヌ映画祭ではNGにされたもの」と自ら暴露した。
その後、樹木希林が「マイ ネーム イズ キキキリン。今日は原田監督を持ち上げながら、ときどき足を引っ張りにやってきました」と挨拶し、いつもの樹木節で記者たちを沸かせた。樹木は「監督は黒澤(明)さん、小津(安二郎)さん、岡本喜八さん、そういう監督の話をするときに、実に嬉しそう。“あのシーンがこうなって”とずっと語っています。その喜びが映画作りに反映している。それがこの監督の魅力だと思います」と手振りを交えながら説明。「それを乗り越えようとしていろいろ頑張るんです。時には失敗をします。そして、いち俳優がこんなことを言ってはいけないんですけど、腕がある」と褒めてから「うーん」と言葉を探してうなり「やはり上手い」と称賛した。
原田監督と樹木の次回作の予定について聞かれると、樹木は「まったくありません」と即答したものの、原田監督は「一応あるんですけど、オフィシャルに言えないだけで」と内情を打ち明け、「時代劇の重要な人物でまさか樹木さんがやるとは誰も思っていない役をやってもらいたいと思っています」と構想を明かした。
今回上映される原田監督の映画は次の5作品。『わが母の記』(2011年)、『KAMIKAZE TAXI』(1995年)、『駆込み女と駆出し男』(2015年)、『クライマーズ・ハイ』(2008年)、『日本のいちばん長い日』(2015年)。上映の際には原田監督と出演俳優の登壇も予定されている。
(TechinsightJapan編集部 関原りあん)