今年4月パリを皮切りにロンドン、ドイツ、台湾、シンガポール、アメリカ、メキシコ、香港と5月まで海外計8か国10都市をまわり、世界中のファン2万人を熱狂させた日本が誇るガールズバンド・SCANDAL。そのワールドツアーに完全密着したドキュメンタリー映画『SCANDAL “Documentary film「HELLO WORLD」”』の10月17日(土)公開(期間限定)を前に進化し続けるSCANDALをテックインサイト編集部が直撃、素顔に迫った。
―初の単独ワールドツアーはいかがでしたか?
HARUNA:物凄く充実して楽しい時間でした。今まで色々な所で沢山ライブしてきましたが、初心に返り新しい気持ちになれたツアーでしたね。
RINA:バンド結成して10年目に入ったのですが、ここへきてまた新しい風を入れてくれた、バンドという“家”の空気の入れ替えをしてくれたようなツアーだったなと思います。
TOMOMI:インディーズ時代は制服を着てアニメの主題歌をやらせてもらいジャパンカルチャーという武器を持って海外に臨んでいたのですが、今回はアルバム『HELLO WORLD』を持ってのツアーで鎧や武器を捨てナチュラルな生身の自分たちで行けたことに凄く自信を持てたツアーでしたね。
MAMI:バンドはもちろん個人的にもソングライターとしても凄く自信がつきました。自分たちの日常生活、日本で見る景色や感情を歌詞にしている曲が、凄く海外の方たちに気に入ってもらえ向こうに行き自分たちの楽曲について新しい発見がめちゃくちゃありました。
―8か国まわったツアーの中で一番印象に残った国とその理由をお聞かせ下さい。
HARUNA:イギリスですね。イギリスでのライブは初めてだったのですが、街の雰囲気が凄く素敵でもうそこからいいなと思っていました。老舗のライブハウスに自分たちのファンだけではなく常連さんや少し年配のお客さんが奥のバーカウンターでお酒を飲みながら純粋に楽しみにきているわけではなく「日本のガールズバンドってどういうライブをするのだろう?」って少しシビアな目でライブを観にきてくれたこと、そこに向かっていける自分たちに可能性を感じましたね。
RINA:ライブ以外でも嬉しかったことがあって、ロンドン、メキシコ、シカゴで町のパン屋さんやビンテージショップに入ったり、シカゴシアターの前を通った時に現地の方から「SCANDALだよね?」って声をかけられたり、次の日の公演を知っていて「ライブ頑張ってね!」と言われたり、ローカルで知ってくれている人がこれだけいるというのを実感した時に凄い喜びがあり、嬉しかったです。
TOMOMI:シンガポールが唯一半野外だったんですよ。そこで初めて見るくらいのスコールが降って、本番直前には止んだので良かったのですが。あのまま雨が降っていたらどうなったんだろうって言うくらい災害レベルでビックリしました。『Rainy』という曲があって日本ではなかなか雨が降らずやる機会がなかったのでシンガポールでやっとできて良かったです。
MAMI:メキシコなんですけど、私、メキシコをまわっている間に誕生日を迎えて、ライブの日にお客さんがメキシコのバースデーソングを歌ってくれたんです。いわゆるハッピーバースデーソングではなく3拍子・4分くらいの曲で、1分くらい聞いてケーキが出てきたのですが、ろうそくの火を消すタイミングが分からず。「早く消さないと」と思って消したのですが、タイミングがそこじゃなかったんですよね。ろうそくを消した瞬間誰も見ていないっていう。メキシコは2,000人以上お客さんが来てくれたんですけど、凄く孤独な気持ちになりました(笑)。
―今回のワールドツアーで得たものは何でしょうか?
HARUNA:これまで海外でライブをすることって何回もあったのですが、正直海外でライブをする意味ってそこまで深く考えたことがなくて。世界的に見てロックバンドの音楽が減る中、日本でガールズバンドをやっていることに誇りを感じ、海外に行ってガールズバンドがライブをするっていう使命感がすごく生まれたツアーでした。
RINA:ガールズバンドが日本の文化になりつつあるというのは感じました。日本の国の特徴であり日本人のいいところ、根気の良さやひたむきにコツコツ頑張る性格が生んだいい文化だと思います。日本人だから女の子も長年バンドを続けられるんだと思うんですよね。やっぱり簡単なことじゃないから何十年も女の子が4人集まってやるというのは。もっとガールズロック・ガールズポップをポピュラーな音楽のジャンルにしていきたいですね。
―女性だけで続けていくことの一番の難しさは何だと思いますか?
RINA:女性なので結婚・妊娠っていうものが人生の中に入ってくると思うんですよね。バンドを組んだ時点で自分一人の人生ではないから、そういうプライベートなこともメンバーで話し合ってやっていくことが大事だと思っています。あとは女性って器用だと思っていて、だからぶつかることを避けられる動物でもあると思ってたのですが、今回のツアーでは一度メキシコで喧嘩になったんですよ。でも、ぶつかり向き合って解決できたのもこのツアーで得たものですね。
―来年で10周年になりますが、今までお互いがぶつかったことはなかったのでしょうか?
RINA:今まで大きく喧嘩したことはなかったです。自分たちの言いたいことを言い合ってちゃんと喧嘩できたのって初めてに近くて。ずっと避けてきてたんだなって気付きました。やっぱりそういうことって本気でやってるからこそ起きるし、ちゃんとしなくちゃいけないんだなって思いました。
―今回のワールドツアーで得たものは?
TOMOMI:海外でインタビューを受けると今、自分たちがどういう風に見られているのかが凄く分かるんですよ。インディーズの頃はパーソナルな質問が多かったのですが、今回は音楽、バンドについて日本と変わらない質問も沢山してもらい、SCANDALというバンドにどういうところを求めているのか、求められている部分がちょっとずつ変わってきている気がしたのが凄く嬉しく、自信がつきました。
MAMI:最新の自分たちを好きでいてくれたことがもの凄く嬉しかったです。今回ヨーロッパだと7年越しアメリカも4年位間があいて、その時の自分たちの印象をちゃんと塗り替えに行きたいなと言う思いもあったんですよね。みんなの方が先を見ている、自分の気持ちよりも向こう側にいたんです。だから、これからもちゃんと新しい自分たちを見せに行き続けるべきだなと思ったし、バンドとして見てくれてるということにもっと誇りを持ち、今回のワールドツアーが特別な回にならないようにしたいなと思います。
―どの国でライブをしたいですか?
MAMI:色々な大陸越えてライブしに行きたいと思います。ヨーロッパのチームには「モロッコでライブしないか」と言われて。アフリカ大陸じゃないですか(笑)? ついにアフリカ大陸行けるのかなって思ったり、南米もブラジルやチリからもお声がかかっていると聞き、もっと色々な場所で細かくまわりたいなと思います。
―結成7年、デビュー9年で世界をまたにかけるバンドってそうそうないですよね。世界で認められた実感はありますか?
RINA:こんなにガチなワールドツアーはなかなか女の子でしないですよね(笑)。認められたり求められたりする部分は確かにあるけど、まだまだだなっていうところもホントに凄くあって、もっといいバンドに変身していかなきゃなって行く度に思います。
日本と同じ規模にどんどんして行きたいです。国外の面白いものを日本に持ち帰り日本でその要素を楽曲に取り入れミックスしたものを海外にまた持って行き逆輸入できるようなバンドになったらいいなと思っています。現地の街並み、人、音楽に影響を受けて日本で作ったものを海外の人たちが聴きたい、ライブを観たいって思ってくれるのは凄く面白く、楽しいなと思っていて、そういうバンドがいてもいいんじゃないかなって思うんですよね。
―今後SCANDALとして目指すものは何でしょうか?
HARUNA:今凄くナチュラルな自分たちでバンドが出来ているので、これから10周年に向かいこの先もずっと続けていきたいと思っている中で、常に今の気持ちを忘れずにやっていきたいなと思っています。
RINA:みんなが歌っている曲を4人で作りたいです。どこの国でやってもこのサビ口ずさめるみたいな曲を生きている間にこのバンドで作りたいなと思います。
TOMOMI:各国のプロモーターから「こういう国からもオファーあるよ」という言葉をもらい、まだまだ行っていない国や日本でもまだ行ってない県もあるので、そういう所にも行きたいなと思う。何かのきっかけで私たちのことを知ってくれた人がいつでもライブに行けるような、いつでもライブをしているバンドでありたないなと思いますね。
MAMI:10年を迎えるに限らず、いつでも今が一番だと思えるように活動していきたいし、自分たちのモチベーションもそこにあるようにしたいと思います。今はそれを意識していないまま来ているのですが、その状態が常に自分たちの中にあるようにしていきたいなと思いますね。自由でハッピーな音楽を届けていきたいです。
(TechinsightJapan編集部 うめ智子)