ロシアの17歳の少年が、コンピューターゲームにあまりにも夢中になりすぎて命を落としてしまった。健康であったはずの少年、しかし長期にわたる座り続けの姿勢に身体は耐えられなかったようだ。
ロシア連邦のひとつ、バシコルトスタン共和国のウチャリに暮らしていた17歳のルスタム君(それ以上の情報は明らかにされず)。足の骨を折って自宅で療養を続けていたこの少年は、22日間ぶっ続けでコンピューターゲームの『Defense of the Ancients(DotA)』に没頭する日々を送っていた結果、8月30日に自分の部屋で突然倒れた。
救急車で病院に搬送されたもののすでに心肺停止の状態であったというルスタム君。そのゲームを始めたのは8月8日で、唯一の休息はトイレ、食事、昼寝、夜の睡眠の時だけであったという。両親はメディアに、「ゲームのキャラクターが死亡したのか息子の部屋は突然静かになったが、その後、機械を操作する音すらしないことに異変を感じて部屋の扉を開けた」と話している。
診断した医師が口にしたのは「肺塞栓症(深部静脈血栓症)」いわゆるエコノミークラス症候群という病名。飛行機や長距離バスに座り続ける旅で発生することがあり、静脈に血の塊ができ、それが血流にのって肺の血管を塞ぐという恐ろしいものである。予防策は水分摂取をこまめにし、足首を回す、足を揉む、時々歩き回るなどに気を付けること。呼吸困難や胸の強い痛みで気づくことも多く、すみやかに血栓を溶かす薬が投与されなければならない。女子テニス界のセリーナ・ウィリアムズ選手は2011年、29歳にしてその病気を発症。血栓を取り除く手術を受けている。
調べによると、ルスタムくんは過去1年半に2000時間以上、あるいは毎日6.5時間以上をゲームに費やしていた“ゲーム中毒”だったとのこと。残念ながらルスタム君のような事例は散発しており、若くて健康であっても座りっぱなしで動かない状態が続けば肺塞栓症を発症しかねない。現代において子供たちの命を奪う危険が最も高いものの一つに、間違いなくコンピューターゲームへの依存が挙げられるという。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)