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writer : flynn

【海外発!Breaking News】化石につまずいたことで世紀の発見に。新種のヒト属「ホモ・ナレディ」(南ア)

2013年に南アフリカのステールクフォンテンから約1.5キロに位置する洞窟で発掘された化石が、新種のヒト属であることがわかった。ウィットウォーターズランド大学の古人類学者リー・バーガー教授らが9日10日に発表した調査結果は、人類の進化の歴史を知る上で大きなステップとなった。

南アフリカ・ヨハネスブルクから北西に50キロ。20世紀前半に人類の骨が多数発見されたことからこの地域は「人類のゆりかご(Cradle of Humankind)」と呼ばれている。そのなかの洞窟「ライジング・スター」で2013年10月、複数の骨の化石が発見された。入り口から90mほど入った小さな部屋に化石はあり、発掘チームは幅18cmの狭い穴の中を12mほど垂直に這い進まなければならなかったという。

実はこの化石、2013年に人類のゆりかごのあたりを散策していた会計士カップルが、その一部につまずいたことから始まる。化石の写真をバーガー教授に見せたところ、世界を揺るがす大発見になったのだ。

発見された化石はおよそ1,550あり、このほかにも数千以上が洞窟内に残されている。その後の調査により新種のヒト属「ホモ・ナレディ(Homo Naledi)」の骨15体が確認された。現在わかっている段階で子供8体、大人5体である。

9月10日の発表にはバーガー教授、南ア副大統領などによってガラスケースに並べられた人骨が披露され、彼らは遠い先祖に当たるホモ・ナレディにキスをした。

今回もっとも興味深い点は、彼らがそこに住んだ形跡はなく遺体は洞窟に運び込まれたか、投げ入れられたものであること。ホモ・ナレディという種は今までの種と違い“死”を認識していたのではないか、また埋葬はホモ・サピエンス特有のものといったこれまでの見解を覆すものになるかもしれないと教授は考察している。

発見されたホモ・ナレディは非常に小さな頭蓋骨を持ち、脳は現在のヒトのおよそ3分の1、人と猿人の特徴をあわせもつその小柄な体は、狭い洞窟をくぐることに適している。脚は長く長距離歩行に向き、手はヒトと同型で、湾曲した指をしていたことから道具を使用した可能性も高い。

ホモ・ナレディは250~300万年前に存在していたと推測され、正確な年代調査はこれからになる。

※ 画像はelifesciences.orgのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)