トマトジュースで翌朝の気分をすっきりさせるのもよいが、できれば飲む前に予防策を講じておきたいのが「二日酔い」。果物の“ナシ”がそのカギを握っているという新たな研究結果が発表され、注目を集めている。
オーストラリア政府管轄の科学研究者組織「Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation(CSIRO)」はこのほど、アジアで古くから生産されてきたナシ(梨)の果汁に二日酔い防止効果が期待できると発表した。飲酒後の記憶力や音、光といったものに対する反射の衰えや回復について観察する実験を行ったところ、飲酒前に韓国産のナシを果汁にして220ml摂取した者は、摂取しなかった者より優れた脳の認知機能を発揮、また酔いから醒めるのも早かったという。
摂取したアルコールは肝臓に運ばれ、分解の各過程でアルコール脱水素酵素(ADH)、アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)、アセチルCoA合成酵素といった酵素の力を借りるが、ナシに含まれる成分がこのうちのADH、ALDHに大きく関与することが今回の研究で明らかになった。また、肝臓で糖分が不足していると二日酔いをしやすいこともわかっている。そのため、アルコールを摂取する際には飲むばかりでなくある程度の炭水化物や糖分の摂取が必要であり、ナシの摂取は理に適っているといえそうだ。
ただし、二日酔いを防ぐためには飲酒の前にナシを摂っておく必要があるそうだ。研究チームの責任者であるマニー・ノークス教授は、同じ効果がいわゆる西洋ナシでも期待できるものか、今後実験してみたいとしている。ちなみに韓国内で圧倒的なシェアを誇り、世界に向けて輸出されているのは「シンゴ」という品種のナシで、これは日本産の赤梨系晩生種「新高」を改良したもの。ナシには他にも便秘予防、抗炎症作用、コレステロール値を下げる働きがあることもわかっており、非常に優秀なフルーツであるといえる。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)