大自然に囲まれて暮らしていると、動物の行動を優先させるのは当たり前なのかもしれない。人々は救急車にニシキヘビが逃げ込んでも麻酔薬で眠らせることもせず、およそ15時間ひたすら出てくるのを待った。
6月4日の朝7時ごろ、南アフリカのファラボルワ空港で滑走路近くのフェンスに巨大なヘビがいるという通報があった。ヘビが滑走路に侵入すると飛行機に巻き込まれる可能性があるため警備員らが追い払おうとしたものの、ヘビは近くに停まっていた救急車に逃げ込んでしまった。
このヘビはアフリカニシキヘビという保護対象の種で、全長およそ4メートルのメス。救急隊員が確認したところ、ヘビは救急車のエンジンの横の隙間にはまり込んでおり、そこから動こうとしない。また救急車を動かせば、ヘビの生命の危険もある。結局出てくるのを待つしかないという結論になり、5人の救急隊員と近くにいた地元の子供2人は“モンティ”という名前をつけ、ヘビが自ら出てくるまで見守ることとなった。
救急隊員はモンティに水をかけるなどして脱水症状を起こさないように待ち続けるが、なかなか動かない。その後、爬虫両棲類学会が交代して見張ることに。同学会は、日没になると気温が下がるので出てくるのではないかと予測していた。
夜もふけた午後10時のこと、爬虫両棲類学会のヘビの専門家であるジアン・ファンデンベルグさんは「ポンッ」という音に気づいたため様子を見に行くと、開けておいた窓からモンティは車外に出ていた。15時間も救急車に潜んでいたモンティは、攻撃性を全く見せずに消耗した様子だったという。
ファンデンベルグさんによると、大型のメスのニシキヘビは非常に貴重な種ということもあり今後の繁殖用として保護していきたいとのことだ。
(TechinsightJapan編集部 FLYNN)