ブルースミュージシャンのB.B.キング(B.B. King)が2015年5月14日、89歳で人生の幕を閉じた。これでフレディ・キング、アルバート・キングとともに、ブルースギターの“3大キング”が全員あの世に旅立ってしまった。B.B.キングの本国となる米国ではオバマ大統領が追悼文を発表、世界中そして日本でも多くがその死を惜しんだ。OKAMOTO’Sのハマ・オカモトやTHE BAWDIESのROY、俳優でバンドも組んでいる浅野忠信などもSNSでB.B.キングを追悼している。世代を超えて影響を与える彼の魅力とはどういったものなのか。
B.B.キングがレコード・デビューしたのは1949年のことだ。ビートルズが『ラヴ・ミー・ドゥ』でデビューしたのが1962年なので、どれほど長きにわたりブルースの王様であり続けたかが分かる。ビートルズのアルバム『レット・イット・ビー』の収録曲『Dig It』(ディグ・イット)で歌われる著名人の名前にも“B.B. King”が入っている。そのビートルズにいたポール・マッカートニーのトリビュート・アルバム『The Art of McCartney』が2014年12月10日に日本でもリリースされたが、B.B.キングも『On The Way』に参加している。少なくともそれまではパフォーマンスしていたのだから驚異的だ。
ベーシストのハマ・オカモトが16日に『ハマ・オカモト(hama_okamoto)ツイッター』で17歳の頃にスティーヴィー・レイ・ヴォーンとB.B.キングをきっかけに「その手のブルースをすごい聴いた」と高校時代を懐かしんだ。同日『ハマ・オカモト hama_okamoto Instagram』では「ブルースを教えてくれてありがとうございました。みんなあなたが大好きです!」とコメントしている。
また、THE BAWDIESでベースとボーカルを担当するROYも15日に『ROY(THE BAWDIES)(ROYTHEBAWDIES)ツイッター』で、4月30日に76歳で亡くなったソウル歌手ベン・E・キングに続くB.B.キングの訃報を悲しみ、「音楽界の神様が残してくれた作品達を私達は語り継いでいきましょう…目の前でステージを観たかったです」とつぶやいており、さらには浅野忠信も『浅野忠信 tadanobu_asano Instagram』でB.B.キングの写真とともに「How Blue Can I Get?」「RIP」と追悼した。
ビートルズは解散後も世代を超えて音楽界に限らず影響を与え続けるが、B.B.キングはそれ以前からブルースの素晴らしさを人々に伝えてきた。日本のアーティストや俳優も世代にかかわらずその影響を受けているのだ。
記者がB.B.キングの音楽を初めて聴いたのは、1980年頃でアルバム『Blues Is King』(1967年)だった。中でもライブバージョンの『Night Life』に浸る間は60年代のアメリカにタイムスリップしたかのように感じたものだ。当時のバンドブームに乗ってジェフ・ベックやエリック・クラプトン、ロイ・ブキャナンなど様々なギタリストのレコードを聴いていたが、B.B.キングの丸くてみずみずしいギターの音色と、歌うように弾くフレーズに鳥肌が立ったのを覚えている。
その頃のギター雑誌に「B.B.キングの偉大なるワンパターン」という批評が載っていた。まだ若かったこともあり「ブルースギターの王様をバカにしているのか」と釈然としなかったものだ。だが、聴くほどにその意味が分かってきた。B.B.キングは歌とギターで自分の人生を伝えようとしているのであり、それがいつもブレていては逆に説得力がない。「ああ、B.B.キングだな~」と思わせる音こそが“偉大なるワンパターン”の力なのである。
ハマ・オカモトやROYそして浅野忠信がB.B.キングから学んだものはそれぞれで違うのかもしれない。しかし、聴いているうちに“偉大なるワンパターン”の魅力にとりつかれたはずだ。
※画像は『浅野忠信 tadanobu_asano Instagram』のスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)