海外発!Breaking News

writer : tinsight-yokote2

【海外発!Breaking News】痩せも「認知症」の原因に。BMIスコア20未満の人は要注意と英研究チーム。

体重と身長の関係から算出されるボディマス指数(BMI)を常に意識し、スマートなボディを目指して生活することは素晴らしい。だがこのほど、中年期の痩せがむしろ「認知症」の発症リスクを増やすという驚きの調査結果が発表され、波紋を広げている。

「脳にタンパク質のアミロイドベータが蓄積して神経細胞を壊し始め、脳萎縮を引き起こす」という以外、詳しいことは解明されていないアルツハイマー型認知症の原因。加齢および遺伝、糖尿病や高血圧もその原因かなどと言われてきたが、どうやらここに“BMI低値(痩せ)”という文字が加わりそうである。患者が長年続けていた生活習慣や食生活などについての膨大なデータ解析が進む中、このたびイギリスの研究チームから興味深い調査結果が発表された。

「中年期(45歳~66歳)に痩せている人や痩せ気味の人は、アルツハイマー型認知症にかかるリスクが高い。」

こんな驚きの調査を発表したのは、「ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院(London School of Hygiene and Tropical Medicine)」のNawab Qizilbash教授率いる研究チーム。年齢の平均は55歳、BMIスコアの平均は26.5という約196万人について約20年にわたり観察を続けた結果を、糖尿病および内分泌学に関する医学専門誌『The Lancet Diabetes & Endocrinology』に発表した。

BMIスコアについては18.5~24.99の人々が正常で健康的な体重と位置付けられているが、観察開始後の9年でBMIスコア20未満の45,507人が認知症を発症。BMIのスコアが上がるほど発症する割合が減少し、スコア40と重度の肥満と評価される人の発症リスクがもっとも低かった。またこれに関し、飲酒や喫煙による差はほとんどないことも判明。アルツハイマー型認知症の発症リスクとしてBMIも関連性が認められ、痩せている人々の発症リスクはそうでない人々より30%も高いと結論づけられた。

ただしアルツハイマー型に次いで多い脳血管性認知症は、軽度の脳梗塞を含む脳卒中といった血管障害により脳機能が徐々に低下していって引き起こされるものである。これは高血圧や高脂血症、糖尿病といった生活習慣病が大きく関わっていることは言うまでもない。またBMIスコア低値の人の中には痩身に夢中という女性も多く含まれている。根底に偏った食生活や激しい運動の存在が予想されることから、この件に関してはさらなる研究が必要になってくるという。いずれにせよ身体の痩せは脳をも痩せさせてしまう可能性があるとのこと。美容上ではなく、やはり医学上の健康的体型を意識することが何より大切なのであろう。

※ 画像はイメージです。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)