朝食用シリアルのほか、健康スナックに多用されている全粒穀物のオーツ(=オートムギ、オーツ麦)。 “オートミール”、“グラノーラ”、“ミューズリー”、“オートブラン”といった食品名は日本でもかなりの知名度になっている。そのオーツを意識して摂取している人は心臓が強く長生きする、こんな研究結果を米ハーバード大学研究チームが発表した。
燕麦(えんばく)の胚芽などを無精製で食するオーツには、水溶性食物繊維やビタミン、ミネラルが非常に豊富。便秘解消に効くばかりか、血中コレステロール値、血糖値、血圧などに好影響を与えることが次々とわかり、近年では健康スナックばかりかパンやマフィン、クッキーなどにも積極的に混ぜられている。
そのオーツについて研究を続けてきたのが、ハーバード大学公衆衛生学のQi Sun准教授率いる研究チーム。10万人を対象とした大規模な調査の結果を、このほど医学雑誌『JAMA Internal Medicine』に発表した。14年以上にわたり対象者の普段の食事内容をチェックしたところ、33g(オートミール用のボウル1杯分)以上のオーツを摂取しているグループは、全粒穀物はどのような種類でも食べないとするグループより9%も長生きしており、特に心臓疾患による死亡のリスクは15%も低くなっていた。
ほかに血糖値を左右するインスリンレベルを安定させる働きがあるため、オーツは糖尿病や肥満の予防にも一役買うとした。ただし、豊富な食物繊維が大腸ガンを予防するのではないかというかねてからの期待については、今回得られたデータだけで断定するのは難しいという。
喫煙や飲酒、カップ麺の容器に含まれるような発がん物質、あるいは偏った食事などの悪い生活習慣が数々の病気を引き起こすと言われて久しいが、それを見直せと言われても実行はなかなか難しい。人々はむしろ「不妊に悩む男性はコーヒーよりビールが有効と判明」といった斬新な医学データ、ポジティブなアドバイスを求めており、このたびの論文もそうした一例であろう。なお、示された1日あたりの理想のオーツ摂取量は28g以上とのことだ。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)