「エボラウイルスをこれ以上国内に持ち込ませるな。なんとしても水際で封じ込めろ」。この真剣なるスローガンのもと、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港でエボラウイルスのスクリーニング検査がスタートした。米国の他の主要空港4か所でも、数日以内に開始される。
先月20日に米国に入国したリベリア人男性トーマス・エリック・ダンカンさん(42)が、テキサス州滞在中にエボラ出血熱を発症して今月8日に死亡。さらに、この男性の治療に携わっていた女性看護師がエボラウイルスの検査に陽性反応を示した件で、米国では水際封じ込め作戦を強化するよう要望が一層高まっていた。そんな中でジョン・F・ケネディ国際空港(ニューヨーク州)では、エボラ出血熱が流行しているギニア、リベリア、シエラレオネから渡航してきた者に対する本格的なスクリーニング検査が始まった。乗客は飛行機の到着とともに体温を測り、健康状態に関する問診票に記入。感染の疑いがある者は専門の訓練を受けた近隣の医療機関に隔離されるという。
同じ検査は数日以内にもニューアーク・リバティー国際空港(ニュージャージー州)、シカゴ・オヘア国際空港(イリノイ州)、ワシントン・ダレス国際空港(バージニア州)、ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港(ジョージア州)でも始まるもよう。当面はこの5か所での実施となる。また英国ではロンドン・ヒースロー空港およびロンドン・ガトウィック空港、ユーロスターのターミナル駅が同様のスクリーニング検査を実施するとしている。
ただしこの病気は潜伏期間が最長で3週間もある。ダンカンさんの例では9月20日にアメリカに入国した際には何ら症状は出ておらず、24日に体調に異変を感じ、26日に初めて診察を受けている。そのため空港を無事通過しただけでは「安心」とは言えない。また、このたび感染が確認された女性看護師はダンカンさんの治療にあたり防護服と専用のマスク、手袋を着けていた。そして初期症状は微熱。感染力が極めて高い上に初期判断は難しい、これが現場の印象だと伝えられている。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)