宮沢りえの主演映画『紙の月』(吉田大八監督)が、第27回東京国際映画祭の「コンペティション部門」に日本代表として出品することが決まった。東京国際映画祭プログラミングディレクターも、本作での吉田監督と宮沢りえの出会いを「運命的である」と評するほど期待している。
10月23日に開幕する第27回東京国際映画祭は、上映エリアも拡大されて様々なジャンルによるこれまでにない規模となる。中でも今年は“作品重視”をコンセプトに掲げ、例年以上に力を注いでいるのが「コンペティション部門」だ。いわば“映画祭の顔”となるその部門の日本代表として『紙の月』が選ばれた。
本作は『八日目の蝉』をはじめ、女性を中心に抜群の信頼性と人気を誇る直木賞作家・角田光代氏の長編小説を原作とする。メガホンをとったのは、昨年の日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八監督だ。そして、今や日本を代表する女優として多方面に活躍する宮沢りえが、7年ぶりの映画主演を務める。
邦画を代表するに相応しい、日本映画界最高峰のコラボレーションにより誕生した心を揺るがす衝撃のヒューマン・サスペンスが、東京から世界へ発信されることとなった。
『紙の月』は平凡な主婦が起こした巨額横領事件を描いたもの。宮沢りえ演じる主婦で銀行の契約社員でもある梅澤梨花が、ある日年下の大学生・光太と出会ったことをきっかけに、ふと顧客の預金に手をつけてしまう。最初はたった1万円を借りただけだったが、その日から彼女の金銭感覚と日常が少しずつ歪み出す…。
宮沢りえは撮影を振り返り「梨花という手強い女を演じる覚悟を持ち続けるのは、地球一周マラソンするくらいのエネルギーでした」というから、持てる物を出し尽くしたようだ。「吉田監督の繊細で粘り強い演出」がそんな彼女の栄養剤だったという。そうやって完成した映画を観る人々に向けて、「曝け出し走り抜けた作品は、私にとって強烈な記憶となりました。観てくださった方にもそうであったら幸せです」と呼びかけるように語った。
吉田大八監督は今回の出品にあたり、「“社会の敵として、さわやかに破滅する”ヒロインの映画が、文字通り世界を敵に回す絶好の機会を得て、とても興奮しています。どうかこの挑発に乗り、彼女がどこまで走り抜けるのかを最後まで見届けてください」とコメントしている。
また、東京国際映画祭プログラミングディレクターの矢田部吉彦氏は、「登場人物をいかに魅力的に描くかということに神経を注ぐ演出家である吉田監督と、抑圧からの解放と転落を見事に演じきった宮沢さんとの出会いは運命的であり、両者のケミストリーが今年の日本映画を代表する1本を生み出した」と評価。「コンペティションでお迎えできることに興奮しています」と期待を込めた。
第27回東京国際映画祭は10月23日(木)~10月31日(金)の期間、六本木ヒルズ(港区)、TOHOシネマズ 日本橋(中央区)他の会場で開催される。詳細はオフィシャルHP:(http://www.tiff-jp.net)にて。
映画『紙の月』は、11月15日(土)全国ロードショー。
(C)2014「紙の月」製作委員会
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)