9月28日、北海道の砂川市という人口が約1万8千人の小さな都市に、大人気ご当地キャラ・ふなっしーがやってきた。今やツイッターのフォロワー数は90万人を突破し、テレビ番組やイベントに引っ張りだこ、グッズの販売も絶好調で年収7億円とも言われている大スターである。そのふなっしーが砂川市のカー用品店でのイベントに登場とあって、当日までツイッター上では「本当に来るの?」と訝しむ声があがっていたのだ。
イベント会場となったのは砂川市街から少し離れたのどかな住宅地にある、タイヤ・カー用品を扱う株式会社治田タイヤ。JR砂川駅から車で10分前後の距離だ。2年に1回開催されるという“秋の大感謝フェスティバル”は、各メーカーの新作スタッドレスタイヤが展示され、縁日気分が味わえるフードコーナーや豪華賞品が当たる大抽選会が開催される一大イベント。店舗横にある駐車場の一部が会場となり、そこに大人の男性が横に6人ほど並べる小型のトレーラーステージを設置。このステージで13時から30分間、ふなっしーショーが行われたのである。
そもそも治田タイヤの社長は、ふなっしーのことをよく知らなかったらしい。当初はお笑い芸人を呼ぼうとしていたが、イベント会社から“ふなっしーのスケジュールに空きが出た”との知らせが入り、急遽出演が決定したという。ふなっしーはブレイク後も、地域の催しや商店街のイベントなどの出演には協力的だ。「自分を応援してくれるファンのために、地方へもぜひ足を運びたい」という思いからだろうが、さすがに今回の砂川市のイベントでは今のふなっしーを受け入れる態勢に不安を感じたファンもいたようだ。イベント開催の1週間前に会場を下見に行った人のツイッターには、「本当にここにふなっしーが来るのだろうか」と現地の写真が掲載されているほどであった。
イベント当日はあいにくの空模様で、小雨とともに風が強く肌寒い状況であった。記者は9時前にJR砂川駅に到着しタクシーに乗り込んだが、運転手によるとすでに治田タイヤの周辺には長蛇の列ができ、国道は渋滞し警察が出動する騒ぎになっているという。列の先頭にいた人は、夜中の3時から並んだという。また東京からふなっしーに会うためだけに、訪れた人もいた。あの大渕愛子弁護士なみに洋服やバッグ、グッズをふなっしーで揃えている女性もちらほら。記者が到着した時点では100人近く並んでいたが、これでも大都市で開かれるふなっしーのイベントに比べれば、かなり少ない人数だったのだろうか。
イベント当日、新品のスタッドレスタイヤかアルミホイール(4本)を購入した方の中から抽選で30組がふなっしーと記念写真が撮れるという特典があり、なんと120組が殺到したそうだ。この記念写真は別室にてプロのカメラマンが撮影し、後日A4サイズに引き伸ばし額縁に入れて渡してくれるという。当選者の中には大泣きしている女性の姿があり、彼女はふなっしーのぬいぐるみを抱えていたので大ファンだったのだろう。
舞台に登場したふなっしーによると、前日に札幌入りし大通公園で開かれていた「さっぽろオータムフェスト2014」をぶらついて、ワインとピザを堪能したそうである。また夜はジンギスカンと味噌ラーメンを味わったという。夏の間は気の毒なくらいのハードスケジュールだったが、今回は札幌の夜をゆっくり楽しめたのではないだろうか。またショーの中でふなっしーは、砂川名物のアップルパイを紹介。後にツイッターで、ふなっしーの話を聞いてイベント帰りにアップルパイを購入したという方のつぶやきがあった。
翌日、治田タイヤにイベントの入場者数を聞いてみると「5000人はいっていないと思いますけど…3000人以上は来ていたんじゃないでしょうか」とのこと。店舗には渋滞が起きていることに対して苦情の電話も入っていたようだが、無事にイベントを終えたことが何よりである。
(TechinsightJapan編集部 みやび)