EU発!Breaking News

writer : shiina

【EU発!Breaking News】難病の息子を病院に行かせず、断食や瞑想を強要。母親とその恋人に禁固3年。(独)

重い病を患う12歳の息子に対して、医学的治療を一切拒否。代わりに断食や瞑想などといった不適切かつ極端な行為を強要させていたとして母親とその恋人に対する裁判が行われ、このたび児童虐待の罪で判決が言い渡された。

15年前の1999年、当時12歳だった少年の母親は彼の実の父親である男性との別離後、少年を含めた3人の子供を連れてドイツ・ニュルンベルク近郊の町ロンナーシュタットへ向かった。そこで“時空を超えた真実の教師”と自称する新しい恋人と共に暮らし始めた。

この少年は難病である嚢胞性線維症を患っており、本来であれば治療や栄養面を考慮した食事の摂取が必要とされる状態であった。だが母親とその恋人は、一緒に暮らすようになってから少年に対する医学的な治療を一切拒否し始める。代わりに日々の瞑想や定期的な断食、あるいは果物だけを食べさせるといった医学的根拠に基づかない極端な方法を強要したのだ。

2002年、少年は実の父親のもとへ逃げ出すことに成功。それ以降、健康状態は目に見えて回復したのだが、母親やその恋人と生活していた1999年11月から2002年12月の間に、彼の体重はなんと30キロにまで激減した。ちなみに、当時の身長に対する一般的な平均体重は50キロほどである。さらに医学的治療を怠ったことによって、彼は回復不可能な肺疾患を抱えることとなってしまった。

それから10年後の2012年、当時の少年は自分の母親及び新興宗教グループの指導者として有名な存在になっていた彼女の恋人に対して、訴訟を起こした。

だが、何故訴訟を起こすまでに長い年月がかかったのか。これについて原告側の弁護士は、原告にとって当時の体験を思い出し整理する作業は決して容易なものではなく、時間を費やす必要があったことを説明している。

先日、ニュルンベルクの裁判所にて判決が下され、母親とその恋人に対して児童虐待の罪で3年の禁固刑が言い渡された。被告側は「息子のためを思っての行為」と無罪を主張していたものの、裁判長は「たとえ母親らの行為が息子のためを思ったものであったとしても、原告は適切な医学的処置を施されないままであり、そのままでは間違いなく死に至っていた」としている。

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(TechinsightJapan編集部 椎名智深)