雄が羽を広げた時の姿があまりにも美しいクジャクという鳥。優雅な雰囲気も魅力だ。だがこの鳥はなかなか攻撃的な性格で、鳴き声も強烈なため一般人が飼うことは難しいとされている。そんな中、米ロサンゼルス郊外には長年野生のクジャクと共存してきた町があった。しかし…。
ロサンゼルスの南西に位置し、豊かな自然と雄大な海の景色が美しいパロスベルデス半島。しかしここのある町で、強い繁殖力ゆえ100年ほど前より急激に数を増やし、すっかりトレードマークとして浸透していたはずの野生のインドクジャクが次々と不審な死を遂げており、住民の間からは「クジャクとの共存はもう限界か」との声があがっている。
ここ2年間で計50体ものクジャクの死骸が発見されているのは、ローリングヒルズ・エステートという高級住宅地。弓矢が刺さったもの、毒の入った餌を食べたものなど、悪意の何者かにより殺されたと思われる死骸が多数確認された。さっそく市の動物管理局と動物愛護団体が調査を開始したが、住民はこの件について『ロサンゼルス・タイムズ』紙に、「クジャクはますます“横暴”になったように思う。数も増えすぎているため(駆除したくなる)気持ちは分からないでもない」と異口同音に話している。
誰もが「美しいクジャクに会える町」と期待して引っ越してくるものの、青い羽根のエレガントさとは裏腹に彼らは人々の睡眠中にも耳をつんざくような甲高い鳴き声を上げ、自動車をくちばしで傷つけ、ボディやウィンドウを糞で汚し、ゴミをあさる。ヘタに危害を加えればクジャクは攻撃性をむき出しにするが、そもそも動物虐待行為として高い罰金を科せられるため、人々は何があっても我慢してきた。「彼らの存在が強いストレスになっている」と訴える住民は増える一方だが、「クジャクはやはり大切なこの町のトレードマーク。適応しない人は去るしかない」との声も根強い。鳥とはいえ野生動物との共存はなかなか大変なものである。
※ 画像はvimeo.comのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)