6月に入ってから、欧州の上空を飛ぶ飛行機と彼らの安全な飛行をじっと見守る管制塔との間に、あってはならない緊急事態が度々生じていたことが分かった。レーダーから13もの飛行機が消えていた事実に、ハッキング被害の声が強くあがっている。
今時の旅客機は、上空では他機の接近状況から避けるべき乱気流や雲といった気象状況まで、重要な部分はすべてコンピュータで制御されており、レーダー感知によりスクリーンに映し出される彼らの飛行状況を見守るのが管制塔の役目である。ところが12日、オーストリア、ドイツ、チェコ、スロバキアの管制塔で、約25分にわたり計13機もの飛行機がレーダーから姿を消すという異常事態が発生していたと英メディア『mirror.co.uk』が伝えている。悪意の何者かが航空管制システムをハッキングした可能性が無きにしも非ずだとして、関係者の間で緊張が高まっているもようだ。
またそれぞれにおいて、かつてなかった原因不明の停電をこのところ複数回経験していたとのこと。今月5日に計10機が、そして10日に計3機が次々とレーダーから消えて数秒後に復活したという事実に、オーストリアの空域を見守ってきた「Austro Control」の管制官であるマーカス・ポハンカ氏は、「こんな事態はかつてありませんでした。異常なく飛行を続けていることを音声のやりとりで確認できたことだけは幸いです」と語っており、オーストリアのメディアはサイバー攻撃の可能性を疑った報道をしている。
さらにドイツでは数秒間にわたり画面から飛行機が消え、広報担当者は「外部による侵入で、レーダーの混乱を狙った切断行為があったとしか考えられません」と述べている。今年3月、南シナ海上空でマレーシア航空機が忽然と姿を消し、いまだ行方不明。レーダーのスクリーンから飛行機が消えることほど管制官にとって恐怖の瞬間はない。欧州の空を守る「Eurocontrol」および「欧州航空安全機関(European Aviation Safety Agency)」は原因究明のための調査を急いでいる。
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(TechinsightJapan編集部 Joy横手)