どの芸人にも持ちネタというものがある。しかし、星の数ほどの芸人が浮かんでは消えていくなかで、「このネタは絶対に売れる!」と確信し、それで現実にブレイクする芸人はほんの一握りだ。いまやその一握りの売れっ子芸人となったお笑いコンビ・オードリー若林と春日のふたり。そんな彼らをブレイクさせた「ズレ漫才」の誕生秘話を若林が語った。
6月20日深夜に放送された『もっとたりないふたり』で、若林正恭がいまやオードリーの代名詞ともなった「ズレ漫才」誕生の瞬間を語った。
「ズレ漫才」とは、話題を進めようとする若林に対し、春日がズレたタイミングで意味不明のツッコミを入れる。これを若林がたしなめたり、逆にツッコミを入れているうちに、話題が先に進まない中でネタが終了するというものだ。
オードリーの記念すべき「ズレ漫才」の始まりは、以下のフレーズであった。
若林:「野菜しか食べないんですよ」
春日:「バイト先の菊池か」
若林:「そいつ誰だよ」
この設定を思いついたときに、若林は「あ、(オレたち)売れちゃう」と確信を持ったという。すぐさま春日の家に向かった若林は「春日、すごいぞこれ。これをいっぱい積み重ねていけば、どこにもない漫才ができるぞ」と熱く語ったそうだ。
「若林にとっての常識と、ハタから見ると非常識な春日の常識」のズレこそがオードリーの醍醐味だ。南海キャンディーズの山里いわく、このときが「(若林が)『オードリーの漫才』を見つけた瞬間」である。若林にとっても、まさにオードリーブレイクの確かな手ごたえを感じた瞬間だったのだろう。
ちなみに、当時この設定を聞いた春日は、野菜ジュースを飲みながら「えっ、どういうことっすか? 2人ともツッコミなんすか?」と若林に聞き返したという。「いや、だから(春日は)ツッコミなんだけど、それが(ハタから見れば非常識ゆえに)お客さんからしたらボケになってて…。もういいわ! 台本書いたら提出するわ!」。このとき、必死に説明する若林と野菜ジュース片手にキョトンとする春日の姿は、そのまま現在の「ズレ芸」をほうふつとさせる。
昨年8月には単独ライブ『オードリーのまんざいたのしい2013』の公演を終えた直後にもかかわらず、ラジオ番組『オードリーのオールナイトニッポン』放送200回記念においても新作の漫才を生放送で披露するなど、オードリーの漫才への思いは春日の胸板以上に「熱い」ようだ。
(TechinsightJapan編集部 TORA)