牛の体に開けられた、大人の手がすっぽりと入るほどの大きな穴。何のためにこのようなことが行われたのであろう。ここはスイスのある畜産研究所。実はこれ、大変重要な使命を背負っての研究調査であった。
のどかな牧草地帯で、草を食みながらゆっくりと歩く牛を捉えたこの写真。しかしその体には20cmもの大きな穴が開けられ、専用のキャップで開閉できるカニューレが埋め込まれた。動物愛護団体の反発は必至と言われる中で、スイスのある畜産研究所は今、牛の腸内環境を整えるエサを開発すべく重要な問題に真剣に取り組んでいるのであった。
観光などで牧場を訪れ、牛舎に足を踏み入れると大きな換気扇が数多く設置されていることに気づくもの。オナラによるメタンガスが充満し、牛舎が爆発や火災に見舞われることは畜産農家にとって致命的な事態なのである。こちらでも1月にお伝えしたが、ドイツ・ラスドルフのある牛舎では牛の大量のオナラでメタンガスが充満し、一瞬にして屋根を吹き飛ばす爆発事故起きて世界中の畜産農家にショックを与えた。
そのようなわけで、ここの研究員らが調査しているのは牛の消化機能と腸内環境。「いかにお腹にガスを発生させないか」を目標に、14頭の牛に対し草に各種の麦を交ぜたエサを与え、消化機能や便、放屁の様子を観察している。バランスのよい飼料で腸内環境が整えばオナラの量や回数も減るが、それは地球環境にとっても大切なこと。 同量の場合、メタンは二酸化炭素の23倍もの温室効果があるためだ。
※ 画像はmetro.co.ukのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)