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writer : maki

【エンタがビタミン♪】脚本家・入江信吾氏が映画界に危機感。「小説やマンガの実写化ばかりで健全なのか」

テレビドラマ『相棒』シリーズや映画『白夜行』などの脚本で知られる入江信吾氏が、映画『なつやすみの巨匠』の製作を進行中だ。彼がプロジェクトを企画するいきさつを伝えた動画で、現在の日本映画界に物申した。最近は小説やマンガの原作をもとに映画化する傾向にあり、「それって健全といえるだろうか」と危機感を訴えている。

映画『白夜行』は東野圭吾氏の小説を原作としたものだ。脚本を手がけた入江氏も原作をもとに書くこととなる。3月18日にYouTubeで公開された“映画『なつやすみの巨匠』紹介動画 for CAMPFIRE”は製作・脚本の入江信吾氏の思いを監督の中島良氏が聞き出す形となっている。

入江信吾氏はプロとして10年間業界で仕事をする中で、「周りを見るとシネコンなどで上映されている映画の多くが、小説やマンガの原作を実写化したもの。こういう状況って本当に健全なのかな」と感じるようになった。それはおそらく他のクリエイターたちも同じはずだという。

「“本当に自分が見たいな”と思う作品を、この手で作ってみたいという思いに駆られた」という入江氏。自分が率先して、自腹を切ってでも実現しようと行動に移したのだ。

映画の製作費は入江氏が、なんと結婚資金として積み立てていた400万円を出資する。「結婚はいつでもできるが、映画は今しか作れないだろう!と自分に言い聞かせて泣きながら結婚資金を取り崩して、全部、ボーンと映画製作につぎ込みます!」と覚悟を示した。

そんな入江氏は、今回の映画にある願いを込めている。映画『白夜行』について「良い作品だけど、救いのない話だった」と振り返ると、「子どもたちがすごく悲しい結末を迎えてしまう。あの子どもたちの表情が忘れられない」と心残りを明かす。今度の映画は「子どもたちが幸せになる作品にしたい」と考えているのだ。

映画『なつやすみの巨匠』は少年が映画を撮るという話で、子どもたちが中心となる。先日の子役オーディションで選んだ4人は個性派ぞろいだという。HKT48の村重杏奈を姉に持つ村重マリアにいたっては「逸材に出会えた」と評価している。そうした準備が進む中で「娯楽に徹した、老若男女が楽しめるものにしたい」と語る入江氏が一番生き生きとしていた。

映画の製作費は前述の入江氏の自腹と、インターネットを通してクリエイターや起業家が不特定多数の人から資金を募る“クラウドファンディング”に頼る。その資金調達のためのプラットフォームが“CAMPFIRE”である。

企業から個人まで支援の申し出があり、次のようなコメントも届いている。「親友の弟が、面白いプロジェクトを始めました。彼の男気に惚れて支援をしております」、「映画製作のパトロンとして参加でき、また、エンドロールに名前が出ることを嬉しく思っています。良き映画を作って世に残してください。その日をとても楽しみにしています!」など他にも動画に共感して支援者になったという声もあった。

すでに目標金額の175万円は達成しているが、低予算で製作するとはいえこれほど抑えるのは大変だろう。彼の趣旨に賛同するのならば応援の意味で支援する手もある。

※画像はYouTubeのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)