範囲を広げての懸命の捜索が続けられているマレーシア航空の旅客機について、偽造パスポートを使用して搭乗した乗客2人に注目が集まっているが、うち1人はアフリカ系で、彼らのチケットを購入していたのはイラン人男性であったことが発表された。
クアラルンプールを出発し、乗員・乗客239人を乗せたまま消息を絶ってしまった北京行きのマレーシア航空の旅客機。一瞬にして飛行機が姿をくらますなど前代未聞だとしてますます疑惑は深まるばかりだが、オーストリア人とイタリア人がタイ滞在中に盗まれたというパスポートを使用していた2人の搭乗客について、次々と新たな発表がなされている。
タイ警察はこのほど、北京を経由して最終目的地がヨーロッパという2人分の片道チケットの購入があったのは、パタヤビーチの「グランド・ホライゾン・トラベル」という旅行代理店で、アリと名乗るイラン人男性によるものであったことを発表。その代理店に勤める女性は、「アリさんはここ3年間ほどよく利用してくれていた。安値のチケットが欲しいと言うし、テロリストだとは思わない」などとメディアに語っている。しかしタイやマレーシアでは近年パスポートの盗難や偽造が多発しているため、こうした犯罪がいつ起きてもおかしくないと航空関係者らは警戒感を高めていたという。
マレーシア民用航空局のアズハルディン・アブドル・ラーマン局長は、クアラルンプール空港内の防犯カメラがとらえた映像により、「2人は男性だがアジア人に見えない。1人はセリエA“ACミラン”所属のマリオ・バロテッリ選手に顔が似ている」と発表。バロテッリ選手はアフリカ系である。またマレーシア運輸大臣は、空港で採取されたすべての搭乗客の指紋や顔写真、そして防犯カメラの映像を中国と米国の捜査当局に提供した。特に、米連邦捜査局におけるテロ関連人物情報とのつき合わせが注目を集めるであろう。
当初この2人についてはドラッグの密輸グループかとの見方もあったようだが、イラン人が関わっているとの新たな情報に関係当局の緊張はがぜん高まっていると言えそうだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)