何十年も前に書かれ、海に流されたメッセージ入りの瓶が発見されるというニュースが時折流れる。だが今月4日、独キール近郊で漁猟中の漁師たちによって発見された瓶は、なんと101年前の1913年に流されたものであることが判明し、話題を呼んでいる。
ローカル紙『Kieler Nachrichten』によると、漁師のKonrad Fischerさんは4日の午後2時頃、同僚らとともにキール東部にある灯台付近に設置していた漁網を引き上げた。その網には茶色いビール瓶が引っかかっていたのだ。
この瓶は一見何の変哲もないものであり、Fischerさんは再び海に投げ捨てるつもりであったという。だが、彼の同僚が瓶の中に何かが入っていることに気づき、それを確認してみようということになった。
瓶は陶製の栓で塞がれていたが、しっかりと締まっていたために中のものが濡れていないことは外からも確認できた。
針金を使い、Fischerさんが中から取り出したものは1枚の葉書。かなり色あせていたものの葉書に書かれた日付を見ると、Fischerさんたちはとても驚いた。1913年5月17日、つまり今から101年前に書かれ、流されたものであったのだ。
さらに読んでいくと、差出人は当時デンマークにいたベルリン出身のドイツ人で、瓶の発見者はこの葉書を同封の切手を使用して差出人のベルリンの自宅に送ることを望んでいるといった内容が確認できた。瓶には葉書とともに、2枚のドイツの切手と思われる物も封入されていた。
この瓶には『Kiel』と刻まれていることから、キールで醸造されたビール瓶である。ドイツのビールは“地産地消”のものが多く、特に流通の発達していない当時、キールのビールを他所で手に入れることは困難であったはずだが、何故ベルリン出身者がデンマークからキールのビール瓶に葉書を入れて流すに至ったのか、これらの場所の関連性が謎だとFischerさんらは話す。
Fischerさんたちによれば、メッセージ入りの瓶は漁をしていると頻繁に網に引っかかるため、珍しいものではないそうだ。だが、さすがに101年前に流されたものは、発見したことがないのはもちろん周囲から聞いたこともないため、もしかしたらこの葉書は世界で最も古いメッセージボトルではないだろうかと期待している。
ちなみに現在、ギネスブックで認定されている世界で最も古いメッセージボトルは、1914年6月10日にグラスゴーの海洋学校が研究の一環で海に流した1890本の瓶の1つであり、2012年4月にイギリスのシェトランド諸島付近で発見された。
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(TechinsightJapan編集部 椎名智深)