ペンシルベニア州バーズボロの動物保護施設にて、猫が保護されている施設で子供達が本を朗読するという試みが行われている。アニマルセラピーの一種のようなこのプログラムでは、子供達の読書力向上だけでなく、保護された猫達も同時に癒やされているという結果が確認された。
バーズボロの動物保護施設『Animal Rescue League(ARL)』で行われている『読書仲間(Book Buddies)』と称されたこのプログラムは、6歳から14歳までの子供達に猫のいるエリアで本を朗読してもらうというものだ。
このプログラム開始のきっかけとなった出来事は、ARL職員のKristi Rodriguezさんが、失読症の傾向があった10歳の息子Sean君を猫のいる中で本を読ませてみようと思い立ち、施設に連れてきたことである。
その結果は期待以上のものであった。Sean君は猫達のいる中で楽しみながら朗読することができ、「また施設に行って本を読んでもいい?」と自分からRodriguezさんに聞くようになったのだ。現在では施設だけでなく、自宅でもすすんで読書をするようになったという。
Sean君のこうした様子を見ていたRodriguezさんは、他の子供達も施設で同じように楽しみながら読書をすることができるのではないかと思い、自らが責任者となって昨年8月から『読書仲間』のプログラムを立ち上げることにした。すると参加した子供達にはSean君同様、読書力の目覚ましい向上が見られるようになったのだ。
人間と動物の関係が子供達の学習過程に良い影響を与えることは、タフツ大学における研究で、動物と触れ合った自閉症児の言語能力に改善が見られた結果などからも既に証明されている。
だがこのプログラムは、子供達だけでなく猫達にも良い影響を及ぼしている。意外なことに、朗読における子供達の声とリズムは猫達にとって心地よく安らげるものであり、また元飼い主などに捨てられた過去のあることが多い猫達は、傍で子供達が朗読することで「自分が注目されている」と意識できるようになるそうだ。もちろん子供達は動物愛護の大切さを自然に学ぶことができるため、このプログラムは子供達、猫達どちらにも相乗効果があると保護施設の職員は話す。
ARLにはこのプログラムに参加した子供達の両親からも、「読書力の向上だけでなく、動物を大切にする気持ちも育まれた」という感謝の声が届いている。
※ 画像はfacebook.com/berksARLのスクリーンショット。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)