「食べ物を粗末にしてはいけない」という教えは世界各国共通のようだ。中国山東省にある烟台大学の学生食堂で、皿の片付けをしているアルバイトの呉さん。呉さんは毎日学生の食べ残しを自分のお昼ご飯と夜ご飯に充てているという。
「自分たちの時代は食べ物を粗末にするなと教えられたが、時代は変わった。今の学生は…」と語るのは、20年に及ぶ教師生活を終え今年退職したばかりの呉さん。年金が少ない呉さんは、同大学の学生食堂でアルバイトをしている。しかし、このアルバイトを通して学生の食べ残しのあまりの多さに驚愕したという。おかずが半分残っている皿、一口二口しか手をつけていない皿が毎日毎日机の上を埋め尽くす。幼い頃から質素な生活をしてきた呉さんにとって、食べ物を捨てるという行為は大変胸が痛むものだ。「どうすればこれらのおかずを捨てずに済むのか?」。呉さんが考えた方法は、学生が食べ残したおかずを呉さんの同僚6~7人のお昼ご飯と夜ご飯に充てるというものだった。
ある学生から「他人の食べ残しを食べて汚いとは思わないのですか?」と質問された呉さんは、「汚い? 何で汚いの? 私は教師を20年間やってきた。私の教え子はみんな自分の子供だと思っている。家庭でも同じだろう? 子供がご飯を残したら親は捨てずにそのご飯を食べるのと一緒さ。学生の食べ残しを食べ始めて5か月ほど経つけど、一人でも多くの学生がこの行動に共感して、食べ物を大事にしてくれたら嬉しい」と微笑みながら語った。
(TechinsightJapan編集部 藤川)