イギリスの開放型刑務所の管理体制はどうなっているのか? 「ドラッグがなきゃやってられねえ」という人間が収監されることはあっても、「ドラッグ漬けにはなりたかねえ」と言ってそこから脱走した受刑者がいたため、物議を醸している。
イングランド南西部グロスターシャーのトートワースにある、「レイヒル刑務所(Her Majesty’s Prison Leyhill)」でこのほど脱走騒ぎが起きた。ここは成人男子の受刑者のみを対象とし、脱走や暴力行為を起こす可能性が極めて低く、保護観察下で社会奉仕活動に従事したり、家庭のある者が一時的に帰宅することが認められる“Category D=開放型刑務所”の施設で、社会復帰を控えての様々な指導や訓練を提供している。
ところが今年8月、ウェイン・ヘッドという35歳の服役囚がレイヒル刑務所から逃げ出し、その後身柄を保護された。ヘッドは2007年8月に起こした強盗の罪により別の刑務所にて服役していたが、まったく問題行動のない模範囚であったために今年4月からレイヒル刑務所に身柄を移されたのであった。6年近く黙々とオツトメを果たし、シャバにでる直前であったヘッド。そのすべてが台無しになると承知の上でなぜ逃げ出したのか。彼はこのほどプリマス刑事法院の法廷で理由をこう説明した。
「4か月間いましたが、あそこはドラッグまみれ。合法ハーブの売買が行われていて、どんどんヤク漬けになっていく自分が恐ろしくなったんです。」
ヘッドの弁護士を務めるアリ・ラファティ氏は、ヘッドが6年にもわたり模範囚として服役していた事実を重ねて強調したが、この逃走により彼の身柄は地元でもあるプリマスにある縛りの厳しい刑務所へと再び移され、刑期も4か月間延長されてしまった。ハーブはハーブでも“合法”なら問題ナシということなのか、「その貴重な情報提供に感謝します」との扱いにはならなかったようだ。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)