“マイケル・ジャクソンの不法な死は「AEG Live」社に責任がある”として、同社に高額の損害賠償を求める裁判を起こしていたキャサリン・ジャクソンら遺族。しかし薬物への依存を深めたのは本人の意志の弱さであったという理由から、このほど遺族らの敗訴が決まったことを米国の複数のメディアが報じている。
2日、大変な数のメディアが押しかけたロサンゼルス郡上級裁判所。この日、2009年6月に強い麻酔薬の投与で心肺停止状態に陥り、帰らぬ人となった“キング・オブ・ポップ”ことマイケル・ジャクソンの不法な死をめぐる裁判が結審を迎えたのだ。
2010年9月、マイケルの母キャサリン・ジャクソンさんがマイケルの遺児3人と連名で起こしたその訴訟。ロンドン・カムバック公演『This Is It』を企画して体力の無いマイケルにプレッシャーを与え続け、得体のしれないコンラッド・マーレイ(過失致死罪による4年の実刑判決で2011年11月から服役。ただし先に早期釈放が決定)を専属医としてあてがい、その給与を払っていたコンサート企画会社「AEG Live」の責任は重いとして、同社に40ビリオン・ドル(4兆円弱)の損害賠償を求めたいとするものであった。
原告側は一貫して「マーレイは腕の怪しい医師。AEGはそれを知っていたはずだ」と主張。だがそれとは裏腹に、裁判の流れは“マーレイにマイケルの健康管理をする腕や意識はあったものの、薬物依存を深めたのはマイケルが薬の処方と投与を強く望んだから”という見方が優勢に。またカムバック公演の是非についても、AEGは「マイケルはその利益で豪邸を購入したいという夢を話してくれた」と無理強いでなかったことを主張。原告側はそれらを覆す決定的証拠を提出できなかったもようだ。
判決は原告側の敗訴。マイケルとマーレイとの間に生まれた家族同様の親密な関係は、もはやAEGの知るところではなくなっており、マイケルの死において同社に責任を問うことは出来ないとした。敗れた遺族側はがっくりと肩を落としている。
なお今年の春、マーレイはCNNの『Newsroom』で有名なジャーナリストのドン・レモン氏との獄中インタビューに応じ、「マイケルの重度の鎮静薬依存は私よりはるかに付き合いの長い皮膚科医、アーノルド・クライン氏がもたらしたもの。見る影もなく衰えてしまったスーパースターのマイケルは“薬を打って欲しい”と泣くばかりで、私は大切な友人を助ける気分だった」などと弁明していた。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)