フジテレビ開局55周年特別番組『SMAP GO!GO!』の中で、東日本大震災が起きた翌日に結婚式を予定していたが叶わなかったホテルマンとその奥様のためにSMAPの5人がサプライズ結婚式を決行した。SMAPの番組ではこれまでも、香取慎吾と木村拓哉がサプライズ結婚式を仕組んで感動を呼んだことがある。しかし今回は震災時の出来事も思い出されて、いくつもの感動が重なるものとなったのだ。ツイッターでは放送中から結婚式や被災地についての感想がつぶやかれている。
9月30日に4時間半にわたって放送された『SMAP GO!GO!』で、“『おじゃマップ』プレゼンツ「ハッピーサプライズ!」”に涙した方も多いのではないだろうか。それも新郎新婦が驚き喜ぶ幸せな姿に感動するばかりではなく、人と人との絆に何ともいえない温かい心になり思わず流れた涙である。
岩手県宮古市の海岸沿いにある浄土ヶ浜パークホテルは、2011年3月11日に東日本大震災が発生すると高台に位置することもあり避難所となった。ホテルマンの畠山さんは、翌日に自分の働くホテルで結婚式を挙げる予定だったが取り止めた。彼は当日、携帯電話で妻にそのことを伝えると「大丈夫だから。避難されてくる方のお世話をして」と言ってくれたことを今も感謝している。それから2年半が経つが2人はまだ式を挙げていない。
畠山さんの同僚が番組スタッフにその情報を伝えたことで、今回のサプライズ企画へと進展したのだ。同僚の男性は「震災当時は結婚式を挙げられない方が多かったが、少しずつながら結婚式のお手伝いをできるようになってきた。そんな中で畠山さんの式も挙げられたらと考えた」と話している。
サプライズの内容は料理から給仕、ご当地ヒーローなどをSMAPがばれないように行うもので、バラエティ番組として楽しめるものだった。そしてSMAPが正体を明かして新郎新婦に『らいおんハート』を贈る時には、新婦をはじめ披露宴会場は女性を中心に感動の渦が沸き起こり、笑顔や涙が溢れることとなったのだ。
この段階でサプライズとしては成功だろう。しかし今回は、ホテルのみなさんへもサプライズが用意されていた。あの3月11日に着の身着のままでホテルに避難されたのは、約250人の方々だった。その時に避難された方の中から感謝のメッセージがVTRで届けられたのである。
「ホテルのみなさんも被災者で家族に会いたかったはずなのに、笑顔でお世話をしてくれた」、「泥だらけの服で避難しても、嫌な顔ひとつせず笑顔で布団を用意してくれた」、「あの時のおにぎりと豚汁の味は一生忘れません」そんな感謝の言葉をある方は笑顔で、ある方は涙ながらに語っていた。
ホテルで働くみなさんも数々のメッセージを目頭を熱くして聞いていた。こうして“ハッピーサプライズ!”は奥様にサプライズ結婚式を仕組んだ畠山さんや同僚の男性、そしてホテルのみなさんも引っかけて大成功に終わったのだ。
サプライズが重なったために、視聴者の感動も様々だ。ツイッターには「素敵なカップルだ! おめでとうございます、お幸せを祈ってます」と2人を祝福するつぶやきをはじめ、「泣けてきた。結婚式っていいなぁ」、「ほっこりし過ぎて、もう何も言えない。結婚良いなぁ!」、「親子で見ていて結婚する時悲しくなるのかって話してたら、本当に悲しくなってきて2人で号泣」と結婚式の雰囲気に感激したつぶやきも多い。
それと共に「震災から2年以上経った今でも、被災地の人たちのことを気にかけてくれるSMAPに感謝」、「もう2年半“も”たつのですね。私たちには“も”かもしれないが、被害にあった人たちにはその時の傷が残っている。私たちもけっして忘れてはいけない! ありがとうSMAP」と被災地の復興について思いをつぶやいたものも少なくない。
畠山さんと奥様の絆。ホテルマンと避難された方の絆。ホテルのみなさんの絆。それをバラエティ番組として分かりやすく伝えてくれたSMAPと番組スタッフの絆。つぶやきの中に「『世の中捨てたもんじゃない』と思わせてくれる結婚式サプライズだった」という感想もあったが、まさにその通りの素晴らしい企画になった。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)