AKB48の大島優子を特集したテレビ番組『情熱大陸』の中で、彼女は現状について「情熱を燃やすところがない」と悩みを明かした。秋元康はそんな大島の現状について「普通は手を伸ばしても届かないはずの天井に手が届いて悩んでいる」と表現している。番組全般に大島優子の想像を絶する努力が映し出されており、感動した視聴者からは「まだ卒業しないで欲しい」、「自分も頑張ろうと思った」など様々な感想がネットに書き込まれている。そうした努力でAKB48の人気者となった大島優子も25歳になり、アイドルや女優業とどのように向き合っていくべきか葛藤の時であることも明らかとなった。
「変幻自在のエンターティナー、大島優子」というキャッチフレーズは実にうまく彼女を表現している。10月20日に放送された『情熱大陸』では大島優子があらゆる場面で活躍する姿と、その陰にある努力を垣間見ることができた。
大島優子は「パフォーマンス、体力、ハートの強さは、若い子と勝負してもいいくらい」だと言い切る。グループの平均年齢が17歳という中で25歳の大島がそこまで自信を見せるのは努力で積み上げてきたものがあるからだ。彼女は「努力すれば誰でも大島優子になれる。でも、簡単なことではない」と語っている。
握手会の場面ではそんな彼女の驚異的な姿が見られた。最近の握手会では握手券1枚につき約3秒間、握手できるようだ。男性ファン、女性ファンだけでなく家族連れも少なくない。
大島が凄いのは対応がブレないところだ。1日で数千人を相手に、大島は一人ひとりとしっかり目を合わせて笑顔で言葉を交わす。どんな話題にも瞬時に反応して最高の時間を提供していることが伝わってくる。子どもやそのお母さんににこやかに対応すれば、「優子ちゃんのことマジで好き。一生幸せにするから」と告白する男性ファンにも真摯に対応する。秒単位でそれが数千人続くのだ。
彼女はそんな握手会について「普通だと思う。みんなは芸能人とファンみたいな感覚で握手するかもしれないが、“人対人”として握手すれば普通に感じる」と持論を語っている。彼女は握手会さえも「自分が成長すると思う。全部吸い取る。全部吸収の場所にする」と笑顔で話した。
8月25日、東京ドーム4日連続公演の最終日。大島は疲労のためリハーサルに最悪のコンディションで姿を見せた。点滴を打って何とか会場にたどり着き、リハーサルが行われるステージにうずくまるようにして参加した大島優子だったが、本番にはいつもとなんら変わらぬ笑顔で全力のパフォーマンスを見せたのである。
そんな大島優子もドーム公演の初日で同期である秋元才加の卒業セレモニーを行った時には涙で目を腫らしていた。彼女はメンバーが卒業していくことについて「自分が置いていかれているという寂しさはある。みんな卒業していいなとも思う」と本音を語っている。
一方で、自分自身がAKB48を続けることには「何にチャレンジするというものがない。やりたい目標はあるが、自分に負荷をかけるものがない」という。「今は、情熱を燃やすところがない」とまで物足りなさを感じているのだ。
総合プロデューサーの秋元康はそんな大島優子について「ここ2~3年は相当悩んでいるはずだ」と話す。普通は、手を伸ばした時に天井に届かないので限界を感じないが、彼女はAKB48で実力を最大限に発揮したので天井に手が当たってしまった。その先には何かがある、何があるのだろうかと悩み出す時期だという。
その言葉を裏付けるかのように、最近の大島優子は「存在感のある女優になりたい」と口にすることが多い。キャッチフレーズでも「目指すのは女優」だと公言してきた彼女が、ここにきて「難しくて正解がない。何をやっても満足しないし、どんな役をやっても自信が持てない。着地点が見えないところにやりがいを感じる」と女優の面白さを語っているのだ。「今は、情熱を燃やすところがない」という大島が次に目指すのは女優の道で正解を見つけることかもしれない。
AKB48ファンによるサイトには放送を見て、「あんなにボロボロだったんだな…」、「胸にくるものがあった。本当に優子ってすごいなっていうのが改めて分かった」と東京ドーム公演をやり抜いた姿への感動などが書き込まれている。
「自分が仕事イヤとか面倒くさいとか言ってるのがバカらしくなったわ。明日からも頑張ろう」と感銘を受けたファンもいるが、それと共に「やはりAKBに居る意味、模索してるな」と彼女の今後を心配する者もいた。
今回の番組中で大島優子が幼なじみと魚釣りをする場面があった。彼女は女友達と「彼氏を作ると面倒くさい」といった他愛もないおしゃべりで「優ちゃんは忙しいでしょ」と言われて「忙しいね。でもいつか忙しくなくなるから人生は。だからいいかな」と返している。当面はAKB48と女優業の両立となりそうな彼女にとって、忙しくなくなる時はいつ来るのだろうか。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)