Perfumeの魅力はテクノポップを主体とした新感覚の楽曲と洗練されたダンス、そして彼女たちの独特な歌にある。歌にはエフェクトがかかっていることはもちろんだが、全曲を通して無機質で機械的だ。それがPerfumeの世界を作っているといっても過言ではない。テレビ番組『ZIP!』に出演した彼女たちは新曲をレコーディングする際のシステムを明かしてくれたが、そこにはプロデューサー・中田ヤスタカならではのこだわりが潜んでいた。
地元のアクターズスクール広島で結成したユニット「ぱふゅ~む」が、『OMAJINAI☆ペロリ』でインディーズデビューしたのは2002年3月のことだ。それから10年以上が過ぎ、J-POPを代表する女性ユニット・Perfumeへと成長した。9月27日に放送された『ZIP!』のコーナー“SHOWBIZ BRAVO!”では、彼女たちの人気の秘密に迫っている。
Perfumeのブレイクに大きく関わったのがサウンドプロデュースや楽曲を担当する中田ヤスタカだ。彼がインディーズ時代に典型的な歌謡曲を歌っていたPerfumeをテクノポップ路線に転向してメジャーデビューさせるのだが、そのレコーディングが独特なのだ。
『ZIP!』のインタビューで、彼女たちは「新曲はその場で渡されて、その場で覚えて、その場で歌う」と明かす。あ~ちゃんは、「本当にサプライズ。その場で聴くので“初聴きそのままスーン歌!”みたいな感じ」と表現している。中田ヤスタカは3人が楽曲を歌い込んで人間っぽい感情的なものになることを避けるために、あえてそうしているのだ。3人は歌うときもノリ過ぎないように座ったままだという。「よう分からんうちに歌っとるやつを使うことで、機械的な無機質な感情のない歌に聴こえる」のを狙っているらしいと、あ~ちゃんは理解していた。
それによってPerfumeらしい歌となるのであり、単純にエフェクターをかけるだけではあの感じは出せない。さらにそのサウンドに乗って踊るダンスがマッチすると、Perfumeの魅力が爆発するのだ。
歌詞の意味を表現しているという彼女たちの振付けを担当してきたのが、MIKIKO先生である。彼女はPerfumeの3人について「プロフェッショナルで完璧に仕上げてくれる」と信頼を寄せている。2日間で振付けを覚えなければならない時も、3人はそれぞれに練習しているはずなのに本番では全員が完璧に仕上げてくると感心していた。
PerfumeもMIKIKO先生を「知識や感覚も長けていて、私たちよりも一方先を行っている」と尊敬しているが、先生ならではの複雑な振付けには苦労することも多いという。のっちが「『Spending all my time』には苦労した。全然覚えられなかった。難しいというか…」と楽曲を挙げると、かしゆかも「頭の体操なんだよね」と同感している。
かしゆかの説明では同曲の場合、振付けが1つではなく“ABCD”、“ABAC”、“ACBC”と種類の違うセットがあって、各自が別々の種類を踊らねばならない。しかも「今日はこのパターンでいくから」と日ごとに変わるというから複雑だ。なによりも「隣の人とは違う動きだから、忘れてしまったら見ても思い出せない」というのが辛いらしい。
このようにしてPerfumeならではのサウンドや振付けを仕上げた上に、レーザー光線やプロジェクションマッピングなどのライブ演出にPV撮影の映像ディレクターなど一流のメンバーがそろってPerfumeとして完成するのだ。それはユニット「ぱふゅ~む」としてインディーズデビューした時には想像もつかない状況である。のっちはそうした環境について、「みんなで“Perfume”という感じですね。それは本当にここ何年かで強く思うようになった。みんなで作り上げている“絆”だと思っています」と語っている。
今年の7月に『Perfume WORLD TOUR 2nd』をドイツ、イギリス、フランスの3都市で開催した彼女たちは、「お客さんが凄かった! 日本に負けないほどの勢いや熱量があった!」と感動していた。海外でもそれだけ受け入れられているのだ。10月2日には5thアルバム『LEVEL3』をリリースする。仲間との“絆”を知ったPerfumeの活躍はまだまだ続きそうだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)