音楽番組『ミュージックステーション』で、司会のタモリが歴代のアイドルが用いたキャッチフレーズのひとつ“国民のおもちゃ”に対して、「これは許せないな」と顔色を変えた。そのアイドルは1986年にデビューした山瀬まみなのだが、タモリはいったいどこが不満だったのか。
1985年に「第10回ホリプロタレントスカウトキャラバン」で優勝した山瀬まみは、翌年にシングル「メロンのためいき」で歌手デビューを果たした。作曲に松任谷由実(クレジットは呉田軽穂)を起用する力の入れようで、キャッチコピーも「国民のおもちゃ、新発売」が用意された。
歌手としてはさほど人気が出なかった山瀬まみだが、バラドル(バラエティーアイドル)の先駆けとなった。今も『新婚さんいらっしゃい!』のアシスタントをはじめ、バラエティ番組やCMで活躍している。
8月16日の『ミュージックステーション』では、“最強アイドルTOP30 総売上ランキング!! 2013年版”が発表された。その中で歴代アイドルたちのキャッチフレーズが紹介されたのだ。
女性アイドルの松田聖子「抱きしめたいミスソニー」、中森明菜「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」といったものや男性アイドルでは、少年隊「日本初、世界行」、光GENJI「超新星からのメッセージ」など奇抜なキャッチフレーズが並ぶ。
山瀬まみの「国民のおもちゃ、新発売」だけが突出して奇抜と言うわけでもないのだが、司会のタモリは「ちょっと、これは許せないな!」と不満を露にしたのだ。
彼は山瀬が売り出すよりも前から、自分のキャッチフレーズとして「国民のおもちゃ」を使っており、「だから、これはパクってるんだよ」と指摘した。確かにタモリは山瀬がデビューする数年前から「芸能人は国民のおもちゃ」と発言しており、自身のキャッチコピーとしてもそれを用いたのだろう。
『笑っていいとも!』がスタートしたのが1982年で、タモリが「国民のおもちゃ」と口にし始めたのもその頃だ。一説にはそれまで「4か国語麻雀」や「ハナモゲラ語」など“密室芸”と呼ばれる独特な芸風で頭角を現した彼が、『いいとも』の司会となって毒が抜けた自分を「国民のおもちゃ」と表現したのではないかとも言われる。
そうした経緯でタモリが考えた「国民のおもちゃ」が、知らぬうちに山瀬まみのキャッチフレーズとなっていたのだから、タモリとしても黙ってはいられなかったのだろう。今となってはタモリも山瀬まみも「国民のおもちゃ」というキャッチフレーズは使っていない。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)