ロックバンド・クリープハイプが音楽番組『ミュージックステーション』に出演することが分かった。彼らにとっては初の地上波テレビ生出演となり、その独特な“世界観”がどう受け止められるか期待される。7月26日にクリープハイプの出演が予告されると、ファンの反響も大きかった。ツイッターでは「Mステおめでとー!」と祝福するものや、「嬉しいけど複雑」、「Mステ出るな」など賛否のつぶやきが続いている。
クリープハイプは尾崎世界観(ボーカル、ギター)、小川幸慈(ギター)、長谷川カオナシ(ベース)、小泉拓(ドラム)の4人からなるロックバンドだ。2001年に尾崎が中心になって始めた3ピースバンドからスタートすると、やがてメンバーが入れ替わって2009年に今の4人になった。インディーズ時代を経て、2012年にアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』でメジャーデビューしている。
ボーカルの尾崎がハイトーンで歌うメッセージ色の強い歌詞が、鋭いサウンドに乗って突き刺さる。2ndシングル『社会の窓』の歌詞には「もっと普通の声で歌えばいいのに」というフレーズがあり、作詞した尾崎が自らの歌声に対する批判的な声を反映させているかのようだ。
また、同曲の一節に「凄く好きだったバンドがメジャーデビューしてオリコン7位を記録した時、あのバンドは終わった」という内容もあり、メジャーデビューすることに対するファンの気持ちを表現している。その尾崎世界観という名前も以前ライブで観客から「世界観がいいね」と言われたことに疑問を感じて名づけたというから、その感覚は簡単には理解できそうにない。
そんなクリープハイプだけにインディーズ時代からの熱いファンが多く、メジャーデビューする際にも喜ぶものばかりではなかった。今回『ミュージックステーション』に出演することについても、ファンからは様々な意見が出ているのだ。
ツイッターでは「Mステにクリープハイプ出るのか、高まるわ!」、「タモリさんと尾崎世界観の絡みが楽しみすぎる」、「地上波のカオナシさん楽しみ」といった彼らの出演に期待するつぶやきがある一方で、「いい意味でMステ出んなよ!」、「ほんとにMステ出ないでほしい、っていうかテレビにはあんまり出ないでほしい」というファンとしての複雑な心境もある。
『Mステ』にはこれまでにSEKAI NO OWARIや凛として時雨など話題のロックバンドが出演したが、やはり出ないで欲しいといった声はあった。ファンとしては嬉しいが、有名になりすぎて遠い存在になるのは寂しいという気持ちもあるのだろう。
かつて尾崎は前述のシングル『社会の窓』に関するインタビューで、メジャー進出することへのファンの戸惑いについて「メジャー進出したアーティストが変わっていく寂しさを、自分も感じたこともある」と共感を示し、そんな気持ちを楽曲で表現したと説明している。
現在、化粧品会社のCMとタイアップした楽曲『憂、燦々(ゆう、さんさん)』でクリープハイプの注目度が上がり、今回の『Mステ』登場になったと思われるが、そこまで考えているクリープハイプだけに何らかの思惑があるのではないか。
ファンからはCM曲ではなくニューアルバム『吹き零れる程のI、哀、愛』に収録された『ラブホテル』を演奏して欲しいと期待するつぶやきが少なくない。『ラブホテル』か、あるいは『社会の窓』か“これぞクリープハイプ”という楽曲を披露してくれるかもしれない。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)