アジア発!Breaking News

writer : katakura

【アジア発!Breaking News】台湾の映画監督、軍基地に中国人を無断同行。クランクインに赤信号。

台湾の映画監督が、中国人カメラマンを中華民国(台湾)国籍と偽り、台湾の海軍基地に同行させていたことが明らかになった。事態を重く見た海軍司令部は、法的措置および今後同監督の撮影に一切の協力をしない旨を発表。映画のクランクインに赤信号が点滅している。

鈕承澤(ニウ・チェンザー)監督の新作映画『軍中楽園』が近々クランクインする予定だが、ここへきて大きな問題が発生しているようだ。6月、撮影スタッフを率いて海軍基地にロケハンに訪れたニウ監督が、事前に国防部(日本の防衛省に相当)と交わした規定を破り、中国人カメラマン、曹郁(ツァオ・ユイ)氏を中華民国籍と偽って同行させていたことがわかった。このたび海軍司令部は、「今後『軍中楽園』及びニウ監督作品の撮影には協力しない」とコメント、クランクインを前に赤信号が点っている。蘋果日報が報じた。

『軍中楽園』は金門砲戦後の金門を題材にした映画で、人気俳優の阮經天(イーサン・ルァン)が主演を務める。2日、海外の仕事先で海軍の撮影協力拒否の知らせを聞いたニウ監督は、映画の制作会社を通して「きちんと規定を確認していなかった。深く反省しています」とコメント。中国人の立ち入りが禁止されていることは知らなかったと発言している。

しかし国防部の話によると、事情は少し違うようだ。今回の映画制作会社が昨年末、国防部に撮影許可申請を提出した際に、申請企画書の中に中国籍スタッフの名前があった。これを見た国防部は特別に制作会社に連絡し、中国人の軍基地内への立ち入りは禁止している旨を伝えたという。また、ニウ監督は5月24日に国防部を訪れ、過去に2度金馬奨で最優秀撮影賞を獲得したツァオ氏の基地立ち入り及び撮影の許可を希望したそうだ。しかし担当職員はその場で申請を却下した。

6月1日午前、ニウ監督が海軍基地のロケハンを行うのに際し、制作会社が提出した参加者名簿の中にツァオ氏の名前はなく、すべて中華民国籍の人物だった。だが海軍が個々に身分証を確認したところ、ツァオ氏が中華民国籍のスタッフになりすまして同行していたことが判明したという。

国防部は、以前ディスカバリーチャンネルの軍基地での撮影を許可したことがあり、世間からは不公平ではないかとの声もあがっている。これに対し国防部は「中国は我々に敵意がある」とし、軍事施設や軍事基地については早い段階で中国人の立ち入りを禁止していたと説明した。国防部はすでに海軍司令部に対して今回の問題の原因を明らかにするよう求めており、海軍司令部はニウ監督及び制作会社に対して法的措置をとる考えがあることを明らかにした。

※金門砲戦 1958年、中華人民共和国の中国人民解放軍が、中華民国の金門島に侵攻すべく砲撃を行ったことにより起きた戦闘。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)