「ミス・ユニバース」の米国代表を決める最終選考会が16日に行われたが、現代の美女に求められるものは美貌とスレンダーなボディだけではない。政治や経済の問題についての思いを、自らの言葉できちんと語れるようでなければならない。そのような中で、今回第3位を獲得したミス・ユタの女性が…!?
米ラスベガスで16日、今年のミス・ユニバース(11月にロシアで開催予定)に出場する“ミスUSA”を決める最終選考会が開かれた。その頭に見事ティアラをのせたのはコネチカット州代表のエリン・ブレイディさん(25)であったが、トップ5に勝ち残ったある出場者が質疑応答コーナーでちょっとした失態をおかしたことに関し、「テーマが難し過ぎないか」という疑問の声があがっている。
その女性は21歳のマリッサ・パウエルさんでユタ州の代表。美しさでは優勝したエリンさんに全く引けを取らない、ブルネットヘアが揺れるゴージャスな美女である。選考会の大きな難関といわれる質疑応答コーナーにおいて、彼女には審査員席の女優ネネ・リークス(45)が対応した。
Q:ある調査報告では、子供のいる家庭の40%で母親が主な働き手だそうよ。それなのに賃金は男性より女性の方がいまだに低い。この格差社会についてあなたはどう思う?
A:どういう職業に就くためにどういう教育が必要で、それを受けようと努力してきたのかなど、教育に対する意識のあり方にまでさかのぼって考えなければならないと思います。しかし、そこでもリーダーはやはり男性というのがこの社会です。私たちはより良いものに教育を改善しながら、問題解決の糸口を見つけるしかありません。
なかなか立派な答えのように聞こえるかも知れない。だがこれは、2007年に「ミス・ティーンUSA」に輝いたサウスカロライナ州代表のケイトリン・アプトンさんが、同コーナーで「我が国民の多くが地図を見せても合衆国がどこにあるかを示せない。それはなぜでしょう」と尋ねられた時の答えとソックリ。選考会を前に過去の出場者らの映像を集めて“練習”していたことが、そのままマリッサさんの口をついて出てしまったという感じだ。
マリッサさん自身はユタ州ソルトレイクシティの「ウエストミンスター大学」および同州プロボの「ブリガムヤング大学」で学んできたが、現在はその美貌を生かしてモデル業をしながら女優や歌手としての道を模索している。そのため、今回展開した持論と自身のやっていることもちぐはぐで、このあたりもポイントを下げてしまったのか、写真うつりが最高に素敵であることから「ミス・フォトジェニック」に選ばれたものの、結果は第3位にとどまった。
ちなみに優勝したエリンさんへの質問は、「家族性乳がんや卵巣がんのリスクを調べるなど、遺伝子診断が普及してきました。特許のもとに一社が検査と利益を独占している現状に対し、最高裁判所はこのほど“遺伝子診断の普及のためにも特許は認めない”という判決を下しました。これについてどう思いますか?」というもので、エリンさんの答えは可もなく不可もなくという無難なものであった。
ボディと美貌はもはや甲乙つけがたいという状況の中、質疑応答コーナーで垣間見えるその人間性に人々の支持率は大きくアップダウンする。社会問題にきちんと目を向け、難題にもひるまない冷静さと知性を試されるそのコーナー。しかし彼女たちはまだ若いだけに、墓穴を掘らないよう無難に切り抜けることばかりに必死な様子だ。
今回マリッサさんが“パクリ回答”で支持率を下げてしまったことについて、「この美女たちにそこまで高いものを求めてどうする?」という意見も相次いでいる。だがそれに対しては「いや、彼女たちは州に戻って大物政治家の息子と玉の輿で結婚し、いずれは州知事のファーストレディになったりする。やっぱり高いモノを持っていなければ」という手厳しい意見も。いやはや、ミスコンで「得意な手料理はなんですか」などと質問されていたのは、はるか昔の話ということか。
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)