「どうしたの、わさお!」テレビを見ていた人たちは、その姿に驚いたことだろう。あのフサフサした毛は抜け落ち、顔や足は所々皮膚まで現れている。耳だけが異様に大きく見え、毛が少なくなったためか体が痩せたようにも感じる。“ブサかわ犬”として大人気となった秋田犬の「わさお」に何があったのだろうか?
青森県西津軽郡鰺ヶ沢町にあるイカ焼き店で飼われているわさお。「ブサイクだけどかわいい」とネット上で大人気となり、鰺ヶ沢町のアイドル的存在となった。その人気はやがて全国区となり、写真集の刊行やわさおを題材にした映画も撮影されるほどの一大ブームを巻き起こしたのだ。
そのわさおが、まるで“別犬”のようになってしまっているという。6月10日の『みのもんたの朝ズバッ!』(TBS系)では、飼い主にインタビューした様子がVTRで紹介された。
わさおの飼い主・菊谷さんは今年、肺炎を患い2か月間の入院生活を送っていた。現在も携帯酸素ボンベを使いながら暮らしている。菊谷さんの入院中、わさおはある犬の訓練士のもとに預けられた。訓練士の話によると預かっている間のわさおは不安な様子で、時折寂しげな遠吠えをしていたそうだ。
菊谷さんは退院後すぐに、わさおを引き取りに行く。しかし、名前を呼んでもわさおは不機嫌な様子で近寄って来なかったのだ。その後間もなくして、毛が抜け落ち始めたという。
捨て犬だったわさおを菊谷さんが保護し、飼い始めたのは6年前。人間不信となっていたわさおは手のかかる、やんちゃな犬だったそうだ。その冷たく閉ざされた心を癒したのは、間違いなく菊谷さんの深い愛情だった。
だがある日突然、菊谷さんは居なくなり、わさおは馴染みの無い場所に連れて行かれた。「また捨てられたと思ったんでしょう。何日も顔を見せないもんだから」と、菊谷さんは複雑な表情で語る。
こんなにも長期間、菊谷さんと離れて暮らすことが今まで無かったという、わさお。捨てられて町をさ迷っていた辛い記憶が、蘇ってきたのだろうか。毎年毛が生え変わる春が過ぎても元のフサフサの姿に戻らず、動物病院で診察を受けても体に異常は発見されなかった。
責任を感じた菊谷さんは「わさお、ごめんな。捨てたわけじゃないんだよ」と毎日、語りかけたという。すると最近、少しずつ毛が生えてきたそうだ。
このインタビューが放送された後、ツイッター上に大きな反響があった。「わさお、大丈夫?」、「涙が止まらない」とやはり視聴者は変わり果てた姿に大きな衝撃を受けたようだ。菊谷さんの体調が万全となり、わさおとの平穏で穏やかな生活がこれからも続くことを願ってやまない。
(TechinsightJapan編集部 みやび)