今や映画やドラマで主役を張るまでに成長した、俳優の佐藤健(24)。だが5年ほど前までは「演技が下手」だと烙印を押され、人気ドラマのレギュラーでありながら台詞もあまり与えてもらえなかった。若かったとはいえ、役者としては屈辱的な扱いである。当時の彼はどのような思いで、ドラマの撮影を終えたのだろうか。
5月31日放送の『A-Studio』(TBS系)に、ゲスト出演した佐藤健。司会の笑福亭鶴瓶とはCMでの共演が長く気心が知れているのか、他のトーク番組よりも彼は表情豊かによく喋り楽しそうであった。
2008年にTBS系で放映された連続ドラマ『ROOKIES』。高校野球をテーマにした青春ドラマで、小中学校と野球をやっていた佐藤はドレッドヘアがトレードマークの岡田優也役で出演していた。
ドラマではそれぞれの野球部員に必ず見せ場があった。だが佐藤の役には見せ場どころか、台詞も他の出演者に比べて格段に少なかったのである。その理由を『ROOKIES』の企画プロデューサーだった石丸彰彦氏は、「(出演者の中で)一番下手だったから」とバッサリ。佐藤曰く、石丸氏は「悪いところはハッキリ言ってくれる、この世界で数少ない本音で話せる人」だという。きっとこの時も台詞を与えない理由を、キチンと佐藤に説明していたのだろう。
『ROOKIES』のメンバーらと最後に座談会を開いたことがあった。この時の佐藤は「僕は何もできなかった」とドラマの撮影期間を回想しながら、“このままでは終わらない”という目をしていたという。彼の姿を見た石丸氏は「あ、こいつはイケる」と、佐藤の俳優としての成功を確信したそうだ。
その後、石丸氏は『冬のサクラ』、『とんび』と重要な役どころで佐藤を抜擢。試練とチャンスを与えてくれた石丸氏の期待に応えるように、彼は演技者として成長していった。
鶴瓶が初めて佐藤に会ったのは、『ROOKIES』に出ていた頃である。その時の印象は「大人しい子やなぁ」だったそうだ。「もう自信出てきてるやろ」と鶴瓶が問うと、佐藤は「当たって砕けろ、ですけどね」と答えていた。鶴瓶も彼が立派な俳優になったことを、父親のように喜んでいるのが印象的であった。
(TechinsightJapan編集部 みやび)