台湾鉄路の新左営駅で、女性がエレベーターに閉じ込められる事故が起きた。1時間後に無事救出されたが、緊急ベルの連絡先である管理室が無人だったことがわかり物議を醸している。14日、『蘋果日報』が報じた。
新左営駅は台湾高速鉄路(新幹線)の最南端の停車駅で、新幹線の開通に合わせて新設された鉄道駅だ。事故があったのは4月25日。ある女性がコンコースのある2階から1階のプラットホームへ降りる際にエレベーターを利用したところ、1階部分で扉が開かなくなり閉じ込められた。女性は緊急用ボタンを押したが反応はなく、携帯電話も電波が届かない状態だったいう。数十分後、幸いにも電話が通じて知人と連絡が取れ、知人が通報。エレベーターの管理会社が駆け付け、女性は無事救出された。
しかし今回の事故については、新左営駅の危機管理体制が問題になっている。事故を受けて駅側は「鉄道の地下化計画にともなう工事が一段落したばかりで、問題のエレベーターがあった新設部分の回路が管理室に繋がっていなかった可能性があるが、すでに改善した」と発表した。ところが駅のコメント発表後、現地メディアが実際にエレベーターの緊急用ボタンを押してみたところ、相変わらず反応はなかった。調べてみると、緊急ベルが通知されるはずの管理室は無人だったという。
メディアの追及を受けると駅側は、「事故当時、駅員は改札口での業務に追われており緊急ベルに対応できなかった」、「緊急ベルの連絡回線を増やして、駅務室にもつなぐ予定だ」とコメント。コロコロ変わる駅側の発表に対し、駅の利用者たちは「利便性を高めるためのエレベーターも管理がこんな状態では」と不信感をあらわにしている。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)