ミュージシャンのスガシカオが、以前チームのアシスタント・エンジニアとして共に活動したメンバーをテレビのニュースで見かけたことを明かしている。彼は“奥ちゃん”としてスガのラジオ番組でもコーナーを持つほどの人気者だったが、ある日突然に姿を消したのだ。それから10年以上が過ぎて、“奥ちゃん”はカフェの経営者としてテレビに登場したのである。
1999年にリリースされたスガシカオのシングル「夜明けまえ」。そのPVに登場する金髪の若者が、“奥ちゃん”こと奥泉とおるさんだ。当時J-WAVEで放送されていたラジオ番組『Across The View』でスガがナビゲーターを務めており、“奥ちゃん”もレポーターとして登場していた。スガは1月18日にブログ『コノユビトマレ』で、その“奥ちゃん”の失踪とその後について触れている。
多くのミュージシャンが弟子と呼ばれるアシスタントをつけるのだが、スガはそれをしない流儀だという。そんな彼が「1人だけ、成り行きで弟子みたいなのがいたことがある」と10年以上も前の“奥ちゃん”と過ごした日々を振り返る。
アシスタント・エンジニアとしてスガのチームに入った“奥ちゃん”は、純文学が好きなこともあってか「巧みな話術と抜群の嗅覚、そして類まれなる人懐っこさ」で人気者になった。彼はシンガーソングライターを目指していたこともあり、スガのラジオ番組で「山手線一周弾き語り」というコーナーを持って歌ったりした。「ジャイアント・キック」という楽曲が評価されるなどその人気は高まり、最終回には深夜に関わらず300人が集まったほどだ。
しかし、その頃からチームの人間関係が微妙に崩れ始めた。それぞれのスタッフが目指すイメージが違ってきたのだ。スガは「おれでさえ、そんな空気に耐え切れず頭を抱えていたくらいだったから、ムードメーカーだった“奥ちゃん”にも相当な軋轢があったと思う」と当時の状況を明かす。そんな時に“奥ちゃん”は、誰にも何も告げずに姿を消したのである。
スガは「そんな“奥ちゃん”の失踪事件から、もう10年以上は経つ」と昔を思いながら、「夕方のニュース番組に映っていたのは、まごうことなき“奥ちゃん”だった」と数日前の突然の出来事に驚いたことを綴っている。
ニュースではカフェのような店を紹介しており、その経営者が“奥ちゃん”だったのである。「清潔感のある白い服を着ていたが、下町育ちの根本的な卑屈さは隠せていない、声も名前も、独特の雰囲気もそのままだった」とスガは特徴からそれが“奥ちゃん”だと確信していた。
スガシカオは、これまであえて“奥ちゃん”を捜して連絡をとろうとはしなかった。だが、出世した凛々しい彼の姿を嬉しいような恥ずかしいような気持ちで見た彼は「今度お忍びで、その話題の“カフェ”に遊びにでも行こうかな…」と思い直したようだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)