ハノーファーの病院で2009年に腹部の手術を受けた男性が、体内から生じる痛みに苦しめられるようになった。詳しい検査を受けた結果、手術時に使用されたと見られる針や縫合糸などの異物が体内に残されていたことが判明した。男性は昨年4月に死亡したが、遺族は病院に対し損害賠償を請求する訴えを起こしている。
『Welt.de』によると2009年、当時74歳のこの男性は心筋梗塞に加え前立腺がん、さらに腎臓が正しく機能しないという問題を抱えており、そのため同年9月に小腸最後部と腹壁の開口部との間を連結する回腸造瘻術という手術が行われた。
しかし、男性は手術を受けた箇所から特に痛みを訴えるようになった。別の病院で検査を受けたところ、手術の際に使用されたと思われる針が体内残されていることが判明。その後再び行われた手術の結果、体内からは針や縫合糸、布など合計16個もの異物が取り出された。
男性を長年診察してきた医師は、このケースはひどい医療ミスであると話しており、これにより男性側は2010年から病院に対し損害賠償を請求する訴えを起こしている。当初、病院側は男性に500ユーロ(約6万円)の慰謝料支払いを提案したものの、男性側の弁護士はあまりに少額で話にならないとしており交渉は決裂していた。
男性は2012年4月に死亡したものの遺族の病院に対する賠償請求は続行されることとなり、その後病院側から1万5000ユーロ(約180万円)にまで引き上げられた。だが、この額も一般的な医療ミスに対する賠償額より低いものであったため男性側には受け入れられず、現在もなお裁判が続けられている。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)