writer : yonashi

【ドラマの女王】視聴率ガタ落ちでも、秋の夜長にゆっくり観たい。『ゴーイング マイ ホーム』。

山口智子の連続ドラマ復帰や宮崎あおい久しぶりの民放ドラマ出演などで注目されていた『ゴーイング マイ ホーム』(フジテレビ系)が第2話で大きく視聴率を落とした。

「身体は大きいけど人間は小さい」と言われてしまう坪井良多(阿部寛)は会社でも家でも板挟みでどこか居場所がない日々を送っていた。そんなある日、疎遠だった父・栄輔(夏八木勲)が倒れ、実家の長野に帰省する。その病室で見知らぬ美女・菜穂(宮崎)に出会う。菜穂は栄輔や子どもたちと「クーナ」という小さな妖精を探していたという。「クーナ」とはなんなのか。良多の不思議な妖精探しが始まる。

放送前の注目の大きさのわりに話題になっていないように感じるこのドラマ。1話の放送がすでに済んでいたことに気づかないまま、いきなり第2話から観てしまった記者。やけに乱暴な冒頭だと感じ、初めてそれが第2話だと気付いた。それほど第1話終了後の話題が少なかったことに驚いた。視聴率も初回13.0%とこの枠の平均的な数字だったものの、第2話ではまさかの8.9%と大きく落とした。

BGMの少ない会話のみの演出が多く、映画のような作りが特徴的なこのドラマ。それもそのはず、監督、脚本を手がけるのは『誰も知らない』や『歩いても 歩いても』などの映画を手がけている是枝裕和なのだ。ヒューマンドラマの長編映画のようにゆったりとした流れに、山口や宮崎の雰囲気はとても合っている。特に宮崎の穏やかだが意志の強い役どころは映画でもよく見せる姿で、この配役に納得した。このドラマに彼女が久しぶりの民放ドラマ出演を決めたのも頷ける。ただ視聴率を取るだけのドラマではない。映画のように丁寧にしっかり作られた作品だから出演を決めたのだろう。だが同時に、この独特の流れにテレビドラマを見る視聴者はついてくることができるのだろうか。それが今回如実に視聴率に出てしまったようだ。

遅い進行に1時間が長く感じる。それなのに話はほとんど進んでいない。どちらかといえば、ドラマ好きより映画好きが好みそうな作品だ。ネットの普及で何事も光の速さで解決してしまう若い世代がお手軽に見るには物足りないと感じるかもしれない。加えて、“妖精探し”というまさかのファンタジー要素に戸惑っている人も多いのではないだろうか。しかし、毎日めまぐるしく様々な情報が行き交う日常に、読書をするような感覚でゆったりテレビを眺めるのもいいのかもしれない。「秋の夜長に」という言葉がよく似合う作品だ。一話一話丁寧につくられたこのドラマが全話揃ったとき、視聴者に何をもたらすのか。たまにはじっくり時間の流れを感じるのもいかがだろうか。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)