イギリス南部の街プールで、恋人との別離が原因で飼い始めた88匹ものウサギを、ほとんど世話もせず劣悪な状況の中に放置していた29歳の女が、イギリスの動物福祉団体によって訴えられた。
『テレグラフ』紙の報道によると、この88匹のウサギうち59匹は、女が両親と暮らす二軒建ての自宅の庭に設置した狭いケージに、29匹は女の寝室にあるプラスチック製の箱の中でそれぞれ飼われていた。ウサギに寝場所を占領されているような状況であったため女は寝室を使用できず、階下の部屋で眠る日々を過ごしていた。
だが、ウサギ達は大切に飼育されていたわけではない。イギリスの動物福祉団体である英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)の調査によると、ウサギ達は排泄物まみれの中で餌や水もろくに与えられず、すぐにでも移動を必要とする状態であった。この中には栄養失調により死んだものの、そのまま放置されていた仔ウサギもいたという。
何故これほど多くのウサギが飼われていたのか。女はこの疑問に対し、以前付き合っていた男性との別れがその原因であると答えている。当時女は犬が飼いたいと思っていたが居住環境などから不可能であり、その代わりに恋人であった男性が「フロッピー」という名のウサギをプレゼントした。しかし間もなく2人の関係が終わり、それと時を同じくしてフロッピーも女の元から逃げ出してしまった。悲嘆に暮れる女を慰めるため、友人達がウサギを何匹かプレゼントしたが、それだけでは心が慰められなかった女は次々と新しいウサギを飼うようになり、気がつくと88匹というとんでもない数に膨れ上がってしまったそうだ。
また、女は恋人との別離後約3年間うつ病を患っており、こうした状況下では増加し続けるウサギへの対処はほぼ不可能であったはずだと、調査に当たったRSPCAの職員は話している。
事態発覚後、女はRSPCAによって動物虐待の容疑で起訴され、裁判の結果、今後5年間のウサギの飼育が禁止されるという決定が下された。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)