2010年4月より、母親の哺乳権保障条例(公共場所母乳哺育條例)が実地された台北市。これにより、母親が、市内の公共の場で母乳を与える際には、誰も阻止したり、隔離したり、授乳に影響を与えるような行為をしてはならず、反した場合、罰金が科せられることになった。しかしこの度、国立故宮博物院で授乳していた女性が「見苦しい」という理由で阻止されていたことが、女性のFacebookへの書き込みから明らかになった。
Facebookへの書き込みがあったのは先月18日。「非常に不愉快な故宮旅行V.S非常に見苦しい授乳」というタイトルで書き込まれている。それによれば、この日家族と一緒に故宮を訪れた女性は、7ヶ月の赤ちゃんがお腹が空いたようだったので、展覧室の外にあるベンチで授乳をすることにした。授乳の際にはケープを使い、外から見えるのは赤ちゃんの足だけだった。しかし、10分もしないうちに、館内スタッフの女性がやってきて、「それは見苦しいので地下(の授乳室)に移動してください」と言われたそうだ。女性が戸惑っていると、さらに語気を強めて「非常に見苦しい」と言い、移動を迫ったという。
衛生局の調査に対し、故宮スタッフの女性は「授乳室の方向を教えただけ。悪意はなかった」と話したが、防犯カメラにはスタッフの女性が2分近くにわたり、授乳中の女性の前に立ちはだかっている様子が映されていた。このため衛生局では、「もしも善意の助言だけならば、これほど長く留まらないはずだ」とし、スタッフの女性に対し6000元(約1万6000円)の罰金を科した。
公共場所母乳哺育條例の適用で罰金が科せられるのは今回が初めてだが、実施から2年以上が経ったいまでも公共の場での授乳に寛大でない見方があることが明らかになった。
(TechinsightJapan編集部 片倉愛)