エンタがビタミン

writer : maki

【エンタがビタミン♪】アニメ『ゆとりちゃん』は本当に“ゆとり世代”の象徴になりえるのか?

Webアニメで配信される『ゆとりちゃん』は、ゆとり世代の女子高生がアルバイト先でおこすエピソードをコミカルに描いた作品だ。アニメだけにデフォルメされてはいるが、主人公の“ゆとりちゃん”はゆとり世代の象徴として登場する。テレビ『たけしのニッポンのミカタ!』でもこのアニメが取り上げられていたが、その捉え方は様々なようだ。

ゆとり世代の年代についてはいくつかの考えがあるが、大きくは1980年代以降の学習指導要領による“ゆとり教育”を受けた世代を指す。その世代枠に関しては、マーケティング界では1986年度生まれ~1995年度生まれと考えるようだ。ゆとり教育により学力の低下が懸念されたこともあり、昨年は小学校、今年度から中学校で新学習指導要領が実施されている。

6月8日に放送された『たけしのニッポンのミカタ!』では、「教育が日本をダメにする!?」をテーマに“ゆとり教育”と“新学習指導要領”そして“学校教育の実態”などを取り上げた。その中で短時間ながら紹介されたのが、アニメ『ゆとりちゃん』だったのだ。

アニメ動画配信サービス「アニメワン」によるWebアニメなのでテレビアニメに比べると知られていないが、2010年3月16日からスタートして現在25話に至るまでの人気を得ている。玩具メーカーでアルバイトする女子高生の田中ゆとり(ゆとりちゃん)が先輩アルバイトの女子大生、摘込しおり(つめこみしおり)や正社員の団華院れいこ(だんかいんれいこ)を相手に、ゆとり世代らしい言動を見せるという内容だ。

例えば、先輩がせっせと積み上げられた箱を抱えて移動するのを突っ立って見ている“ゆとりちゃん”がいる。人の良さそうな摘込しおり先輩が「なぜ手伝わないの?」と声をかけると、「だって、先輩が『手伝え』って言わないから」と平然と答えるという具合だ。

こんなエピソードの数々が描かれるのだが、これを見た番組ゲストの坂東眞理子氏(昭和女子大学学長)は「ゆとり世代はこんな感じ」と共感したように大きくうなずいて苦笑していたのである。しかし、果たして“ゆとりちゃん”は現状をどれだけ反映しているのだろうか。

ゆとり世代の考え方については、ネットでも様々な意見がある。若者の“ダメぶり”と“ゆとり教育”、“ゆとり世代”を関連付けるのは的外れだという指摘も少なくない。

その前日、6月7日のテレビ『ライオンのごきげんよう』に俳優の岡田義徳が出演していた。彼がある後輩に役者の心得を説くと「でも、自分たちは“ゆとり世代”ですから」と平気で言い訳をすることに違和感を覚えると訴えていたのだ。“ゆとり世代”という言葉が、逆に若者のやる気を損なっているとも取れるエピソードである。

もちろん、“ゆとり世代”とされる年齢でも気にせずに過ごす若者が大多数だろう。特に就職氷河期とされるこの時代に“ゆとり世代”などと言っている学生はいないのではないか。そんな今の時代を考えると、“ゆとりちゃん”はあくまでアニメキャラであり“ゆとり世代”の象徴とはならないようだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)