writer : yonashi

【ドラマの女王】何かが振り切れた?ガッキー。小池栄子の怪演も。緩急絶妙な展開。『リーガル・ハイ』。

堺雅人と新垣結衣が、現在出演している『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)で、これまでにない濃い個性を持つキャラクターを好演している。

報酬を積まれればどんな依頼でも引き受ける裁判では負けなしの弁護士・古美門研介(堺雅人)と彼の下で働くことになった正義感の強い新米弁護士・黛真知子(新垣結衣)、そして料理上手な事務員服部(里見浩太朗)を中心に依頼者を勝訴に導いていく過程が描かれている。

テーブルの上に横たわるガッキーを抱きしめる堺、と少し色気のある宣伝写真から大人なラブストーリーでも展開されるのかと思いきや、まさかのコメディ。堺の微笑みの貴公子ぶりは健在だが、お金と女性が大好きで、前髪をキッチリ9対1に分け、早口かつ滑舌よくまくしたてる古美門の微笑みにはなんともいえないいやらしさを感じる。

前々からガッキーこと新垣のコメディ出演に肯定的だった記者は、今回は俄然応援モードになってしまった。オープニングでの飛び蹴りに、わがままお坊ちゃまに振り回される姿。田中眞紀子や蓮舫のモノマネまで披露。この振り切れ方は過去最高だ。ここ最近のコメディ出演経験が見事に活かされている。

この2人のキャラクターを活かし、さらに上をいく内容だ。古美門法律事務所の事務員・服部役の里見と第4話ゲストの大和田伸也のツーショットになれば、2人が助さん格さんを演じた『水戸黄門』のテーマ曲を流したり、あの金田一耕助でお馴染み『犬神家の一族』のパロディまで設けるなど大小関わらず小ネタを振りまく演出には脱帽するばかりである。一方で真面目な場面も当然あり、シリアルとコミカルの緩急の差も絶妙である。

そのうえ、濃いキャラクターを得意とする生瀬勝久が久しぶりに笑いなしの真面目なキャラクターを演じるのも面白い。一切笑いのない生瀬に仕えるのは狂気的な演技ではピカイチの小池栄子だ。古美門・黛コンビが持つ陽の雰囲気と見事に対照的な空気を醸し出している。ただ、古美門を陥れる仕掛けが雰囲気に比べ甘いところが惜しい。このドラマにはこれくらいのスパイスがちょうどいいのかもしれないが、せっかくの生瀬・小池が出す陰の空気がもったいない気がする。

最終回まで、あと3話。大きな波は見えないが、登場人物の秘密が見落としかねないくらいさりげなく明かされているので、古美門や黛の過去などに触れるのも遠くないかもしれない。一体、最終回がどこに着地するのか見当もつかないが、いきなりドラマが大きくうねるような重大事件で終わるのではなく、いつもと変わらず「え? 最終回だったの?」というようなテンションで終わって欲しいと思う。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)