マキタスポーツのジャンルをあえて記すならば“芸人ミュージシャン”ではないか。一般にはピン芸人として売り出している彼だが、音楽の才能は多くのミュージシャンも認めるところなのだ。その“マキタスポーツ”が、今年に入りバラエティ番組でパフォーマンスを披露するなど活発に動いている。5月には嵐の櫻井翔が、テレビ番組で彼を話題にしたことから紹介された。
“マキタスポーツ”がメディアを通して広く知られたきっかけは、今年の1月20日にテレビ『中居正広の金曜日のスマたちへ』で特集されたことが大きい。
彼自身はたけし軍団のお笑いコンビ、浅草キッドによるライブ『浅草お兄さん会』でチャンピオンとなったことで、お笑いの世界に入っている。その後はお笑いトリオ、ピン芸人と活動してきたが、芸風はパロディソングやミュージシャンのモノマネだった。彼はそれをモノマネとは呼ばず『作詞作曲ものまね』としている。経歴の詳細は省くが、彼が所属するオフィス北野のプロフィールによると「芸歴15年目。本気になって2年」とのことだ。
前述の『キンスマ』で、彼は「ヒット曲を作る法則」として「“カノン”のコード進行」、「翼、扉、奇跡、桜がキーワード」、「サビではブレイク“ラララ”などの大合唱を入れる」等々の本格的な分析結果を披露。それに基づいて作った楽曲『十年目のプロポーズ』は涙さえ誘う名曲となった。
その後はしばらく姿を見なかった“マキタスポーツ”が、5月7日に音楽バラエティ『HEY!HEY!HEY!』の中で紹介されたのだ。この日は嵐がゲスト出演しており、櫻井翔が「動画を見てから気になってしょうがない芸人さんがいる」と話題にしたのである。
スタジオに登場したわけではなく、動画が流れただけだが“マキタスポーツ”が「Mr.Childrenがもし“トイレ”という歌を作ったら…」のテーマで弾き語る内容には、嵐メンバーも聞き入り“笑い”よりも感心していたようだ。
“マキタスポーツ”は、ミスチルだけでなく数々のミュージシャンについて「○○風なオリジナル楽曲を作り○○風に歌う」ことにかけては天才的なのである。例えば奥田民生、井上陽水、aikoや加山雄三までその対象も幅が広い。彼の才能をいち早く見出したひとり、放送作家の高田文夫は「上手すぎてブレイクできない芸人」と過去に評しているが、当たっているだけに辛いものだ。
そんな“マキタスポーツ”が映画『苦役列車』に出演することが分かった。彼が『マキタスポーツ コラム』で公表したところでは、「結構重要な役。原作にはない、主役に大事な何かを与える役です」という。役者との共演については「森山未來くんの怪優ぶりは凄かった」、「あっちゃんは存在感がやっぱり“前田敦子”で素晴らしかった」と綴っている。しかも、映画の挿入歌『俺はわるくない』も担当しているのだ。彼にとって“パロディ”でない楽曲を世に出すのは初めてなのではないだろうか。「自信作です。傑作と言ってもいいくらい」というほどの力作のようだ。
“マキタスポーツ”が率いるバンドは「マキタ学級」という。彼は3年前、バンドメンバーに「まず『マキタスポーツの知名度を上げる』ことで“金と知名度”に的を絞る」ことを宣言している。業界でやっていく上での経営戦略として、その必要性を感じたのだろう。今年はようやくその努力が実りそうで楽しみだ。
(TechinsightJapan編集部 真紀和泉)