writer : yonashi

【ドラマの女王】生徒の最大の反抗は「教師を無視」。希薄な教育現場は怖いか? 『ブラックボード 第三夜』

先日退院したことが発表されたSKE48松井珠理奈の出演が話題となった三夜連続放送『ブラックボード~時代と戦った教師たち~』(TBS系)の最終回。最後の舞台は2012年の現代、テーマは学級崩壊「夢」だ。

大田区立都中学の英語教師、滝沢桃子(松下奈緒)が受け持つ3年2組は、転校生の大宮正樹(神木隆之介)によりクラスは壊滅状態となっていた。大宮は教師たちの問いに「わかりません」としか答えない。はじめは単なる授業妨害だと思っていた滝沢だったが、次第に彼が小学校低学年レベルの学力だと知り、個別で補習を行う。しかし、それを勘違いした生徒が滝沢を淫行教師と学校の掲示板サイトに書き込み、滝沢は逮捕される。

学級崩壊、学力格差など現在の学校が抱えている問題を取り上げていたが、少しテーマが絞り切れていなかったように感じた。学級崩壊に重きを置いているのかと思えば、学校に耐えきれなくなり、飛び降りようとする滝沢を母親が人気のない崖に連れて行き「死ぬなら誰からも気付かれないようにしなさい」、「靴を脱ぐなんてヘマはしないでよね」などと言い出し、度肝を抜かれた。その直後、ドラマの折り返しにも満たない段階で、クラスの雰囲気は嘘のように変わる。その後は、大宮の学力の問題と向き合うも、他の生徒の嫉妬によるえん罪、そして裁判。どれもきっちり分けて構成されており、ぶつぶつと所々切られているようだった。教室のシーンも画一的に地味で暗く、冷たい印象を感じた。

今も昔も、生徒が教師に示す最大の反抗は「無視」することだ。話を聞かない、大声を出すなどそれは今も昔も変わっていない。80年代は加えて、暴れる、ものを壊すなど破壊的衝動など目に見える行為も多かった。しかし、現在はそういった激しい行為は少ない。表には見えないところでじわじわと精神的に追いつめるのだ。同じ教師を無視するでもここまで印象が違う。それは、人間関係のあり方の違いなのかもしれない。現代では人間関係の希薄さが問題視されている。生徒たちの反抗の違いは、その象徴なのかもしれない。その希薄さがドラマ全体にも表れていたように思う。

滝沢は真剣に大宮と向き合い、他の生徒とも向き合い接していく。しかし、それは過去二話の教師たちとは何かが違った。その何かが人間関係が希薄している現在そのものなのかもしれない。滝沢の熱意はきっと過去の2人の教師と変わりはない。だが、今時珍しい熱血教師はどんなに頑張っても、過去のようにはいかない。そんな時代の流れの恐ろしさを感じた第三夜だった。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)