三夜連続で放送された『ブラックボード~時代と戦った教師たち~』(TBS系)の第二夜は、1980年「校内暴力 生きろ」だった。
第一夜で櫻井翔扮する白濱正平が気にかけていた戦災孤児の生徒・後藤明(佐藤浩市)が教師になり、母校に戻ってきた。時代は1980年。校内暴力で学校は荒れ果てた時代だ。後藤が受け持つこととなった3年5組もまた例外ではなかった。学校一の問題児であり、他の教師からは見放されていた古沢ゆかり(志田未来)を後藤は「暴力教師」と呼ばれようとも真っ正面から受け入れようとする。
第一夜とは打って変わった教育現場。今では想像もつかない鬼のような形相のメイクにチリチリパーマの女子、リーゼント姿の男子。教室の窓ガラスは割られ壁にはスプレーで落書き、自宅で隠れてシンナーを吸う不良の姿は、80年代に放送された全盛期の『3年B組金八先生』を彷彿させた。さすがTBSといったところだ。
中でも一番驚かされたのは、やはり古沢を演じた志田だ。ドラマ視聴中はキャストを一切見ていなかったため、古沢が誰なのか把握していなかった。ドラマが終わり、古沢が志田だと知り驚くばかりだった。彼女が演じた古沢の姿に志田未来の面影はなかった。志田の演じる古沢だけが、80年代のヤンキーがそのままタイムスリップしてきたかのようにドラマ内でも異彩を放っていたのだ。
現代より前の時代を舞台にすると、どんなに当時に近づけようとしても、どこか現代の雰囲気が見え隠れしてしまうものだ。事実、若手の教師や古沢と一緒につるんでいた2人の男子生徒は立派なリーゼントをこしらえていたが、それぞれサマになっていなかった。
13歳で出演した『14才の母』や『秘密』など、実年齢より上の経験を求められる演技が多かった志田。その演技力はそれら出演作ですでに実証済みではあったが、ここまで外見から変貌を遂げた役は初めてだったのではないだろうか。そのカメレオンぶりに志田の今後の可能性が大きく広がった瞬間を見たように思う。まだ18歳。末恐ろしい限りである。
(TechinsightJapan編集部 洋梨りんご)