ロシアからアメリカに養子に出された子供達が、養親から虐待を受けたりロシアに送還されるというケースが増加しており問題となっている。子供がなおざりにされるアメリカ側の対応に不服の念を表したロシア側は、アメリカからの養子申請の受付を一時的に中止することを決定した。
アメリカは養親になることを希望している人の数が世界で最も多い国であり、そうした理由から毎年非常に多くの子供がロシアから養子として受け入れられてきた。
だがその数の増加に比例して、養子への虐待、そして一旦受け入れたものの自分達と合わなかったとして、後に子供がロシアに送還されるという問題も増加傾向にある。
ロシアでは既に、アメリカで2010年に発生したロシアから来た養子を不服とした母親が、その子供をロシアに送還した件を受け、アメリカからの養子受け入れ申請の一時的な中止を決定している。
だがその後も状況は改善の兆しを見せてはおらず、最近でも、ペンシルベニア州に住む母親がロシア出身の3歳の養女に暴力をふるい病院送りにした事件が発生した。この母親は23ヶ月の禁固刑という判決を受けたものの、刑務所に入ってわずか8ヶ月後には釈放されており、ロシア側は「刑事的措置が非常に甘いのではないか?本来ならもっと重い判決が下っているはず」と、アメリカ側の対応を強く批判している。
アメリカからの養子申請に対する許可が、いつから再開されることになるかは依然として不明だ。アメリカにおけるロシアからの養子を巡る状況を改善するため、ロシアはアメリカと相互協力の下、締結されている養子協定の見直しを図ると共に、児童保護や虐待防止のための監視を将来的に強化する必要があると関係者は話している。
(TechinsightJapan編集部 椎名智深)